CRの新製品2種を投入
ドイツの特殊化学品メーカー ランクセスは同社のハイパフォーマンスエラストマー(HPE)ビジネスユニットで製造・販売するゴム工業向け特殊合成ゴムポリマーの日本市場での積極拡販を図る。
本年1月にHPEビジネスユニットリーダーに就任したジャン・ポール・デュ・フリース氏が来日、9日、東京本社会議室で記者会見し、 同社のCR(バイプレン)、H-NBR(テルパン)、NBR(ぺルブナン)、EVM(レバプレン)の各種合成ゴムの製品紹介及び日本市場への取り組み姿勢を語った。
この中で、同氏は先に発表したNBRを非中核事業として戦略的見直しを図るとした点について「これはNBRの生産を中止するということを意味しているものではない 。この事業をさらにフォーカスするためにはあらゆる選択肢を検討する必要があるということである」と語った。また、日本市場については、「我々にとって大変重要な市場であり、日本の市場そのもののみが重要ということでだけでなく、日本から世界に進出している会社も大変多いことがが重要である。事業を成長させるには常にイノベーションが必要である」と述べ、CRの新グレード2種の供給を近く開始することを明らかにした。
CRの新グレードは「グリーンフィニッシュ」(GF)と「バイプレンHP」の2グレード。いずれも製造プロセスの革新的な向上により開発された新グレードでGFは環境に優しい加硫促進材を採用したパウダー状で分散性が向上するのが大きな特徴。もう一つの「バイプレンHP」はムーニー粘度が低い流れ成形性に優れる世界初の新グレード。
CRはドイツのドルマーゲン、NBRはフランスのラバンツェナウウラン、中国の南通、H-NBRはドイツのレバークーゼン、アメリカテキサスのオレンジ、EVMはドイツのドルマーゲンでそれぞれ生産されている。
低燃費タイヤ向け
BRに新グレード
一方、ランクセスは10 日、パフォーマンスブタジエンラバーズで手がけるNd-BR(ネオジウム触媒ポリブタジエンラバー)の加工性を向上した2つのNdーBRグレードを新たに提供すると発表しました。新製品の「ブナR(BunaR)Nd22EZ」と「ブナR(BunaR)Nd24EZ」は、卓越した低転がり抵抗を備えたタイヤ製造に必須となる高いモル質量を特徴とすると同時に、ランクセスの新しいゴム改質技術によって加工性がはるかに向上しているという。これらの新しく改良されたNd-BRグレードは、すでにタイヤ業界で幅広く使用されている高性能ゴムNd-BRの「ブナCB22 」および「ブナCB24 」に取って替わる製品で、低燃費タイヤの製造が従来よりも容易となり、タイヤ開発の選択肢が一層広がるとしている。
この新しいNd-BRグレードの「ブナNd22 EZ」と「ブナNd24 EZ」の改質技術は、長鎖分岐を増加させるように設計されており、充填剤のゴム母材への結合を迅速かつ確実にし、結果として加工性が向上。また、鎖の独自の化学改質は、特に側壁コンパウンドにカーボンブラックを含有する場合、ゴム/充填剤の結合を高めまる。結果として、新グレードで製造されたタイヤの動的性能は、ランクセスの従来のNd-BRグレードで製造されたタイヤと同等の高いレベルを維持するとしている。Nd-BRは、単独ではほとんど使用されることはなく、他のポリマー、特にSSBR(ソリューション・スチレン・ブタジエン・ラバー)とのブレンドでシリカを充填剤としたタイヤトレッド配合に使用されているが、加工助剤を添加することなく、ミルでのゴムの粘着性の大幅な向上を実現したとしている。
現在、シンガポールのジュロン島において建設中の世界最大級のNd-BR製造プラント計画は順調に進行しており、投資額約2億ユーロ、年間製造能力14万トンを備える。同プラントは、特にアジア地域の旺盛な「エコタイヤ」向けの市場に供給する。