15年末に日産1万5千本計画

2013年10月11日

ゴムタイムス社

住友ゴム工業ブラジル工場稼動

ブラジル工場の概要

 住友ゴム工業は3日、ブラジル工場の開所式を建設地のパラナ州ファゼンダ・リオ・グランデ市で実施、同日から本格稼働をスタートした。ブラジル工場は中国・湖南工場に続く9番目のタイヤ工場となる。同社は日本、インドネシア、タイ、中国に既に生産拠点を有しているが、アジア圏外での工場設置は初。急増している自動車生産に合わせ、タイヤ需要が拡大する中南米市場の成長を取り込むための重要な拠点となる。

南米初の生産拠点に

ブラジル工場外観

ブラジル工場外観

 セレモニーに先立ち、午前8時30分からプレス向けの記者会見が開催された。会見には住友ゴム工業の池田育嗣社長のほか、 Sumitomo Rubber do Brasil Ltdaの小田一平社長、取締役営業統括の谷村一晴氏、取締役工務・IT担当の脇谷宣典氏の4名が出席した。

 同社は20年度を最終年度とする長期ビジョン「VISION2020」を策定している。市場への挑戦、飽くなき技術革新、新分野創出という3つのテーマを成長エンジンとして掲げ、20年度に売上高1兆2000億円、営業利益率12%以上を目標としている。同社では3つの成長エンジンの中でも、グローバルな成長を実現していくために、新市場への挑戦における新興国市場への進出を重要課題と位置づけており、今後大きな需要拡大が期待できる中南米、中近東、アフリカ、ロシア、インドの5つのエリアへの展開を強化している。

工場設備

工場設備

記者会見する池田社長(中央)

記者会見する池田社長(中央)

 会見で池田社長は、「住友ゴムがグローバルな成長を実現するためには新興市場への進出が必要になる。2020年時点の中南米タイヤ市場は1億5千万本となり、ロシア、中近東、アフリカ、インド、中南米の5つの新興国エリアで最大となる見通し。なかでもブラジルの乗用車用車両保有台数は現在より68%増加し5800万台に、それに伴いタイヤ総需要本数は6800万本になると予測している。ブラジル工場の完成により、中南米地域における生産販売体制の更なる強化を図ることができ、住友ゴムのグローバル成長戦略に大きく寄与すると期待している」とブラジル工場の重要性について言及した。

 ブラジル工場の生産品目は自動車用ラジアルタイヤ。生産能力は13年末に日産2千本、14年末に日産8千本、15年末には日産1万5千本までに順次拡大していく。将来的には日産3万本までの増産が可能となっており、増産については「需要動向を見ながら対応していく」(小田社長)としている。

 生産設備には、高精度と高性能を追求し、材料行程と成形行程を一体化させた自動化、小型化生産方式「太陽」を導入。 太陽工法を導入した理由について池田社長は「通常工法と比較して立ち上がりが非常に早いこと、コンパクトに導入できるために増産体制に融通がきくなど、効率を重視した」と述べた。投資額は約7億5000万レアル(約353億円)。13年9月時点の資本金は6億レアル(約282億円)。敷地面積50万平方メートルのうち建屋面積は6万5千平方メートル。クリチバに工場を決めた理由については「最終的には5つ程候補地があったが、兵庫県とパナマ州の関係による兵庫県のサポートが大きかった。知らない所に出て行くので、兵庫県関係の協力が得られることが決め手となった」(池田社長)という。

 従業員は現在は500人、15年末には1500人になる予定。

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