技術の導入について、「指導できる人材に限りがあるのは事実だが、日本の人材に限ると足りなくなるが、ブラジル工場の立ち上げに際しては、タイの工場で訓練を行った。トルコ工場の技術指導もタイで行う予定。日本からだけ技術者を指導で出すということはしない。技術導入に関してはグローバルに対応していく」と述べた。
販売戦略については、ブラジルではA/Bセグメントのフィアット「UNO」やフォルクスワーゲンの「GOL」といった小型車の割合が約7割を占めており、同国ではタイヤは2本ずつ交換するのが一般的で、新車装着タイヤをそのまま装着するケースが多いため、新小型車を中心に新車装着を推進し、補習用タイヤの波及を図るとしている。
OE戦略について池田社長は「海外メーカーへのアプローチに力を入れており、フォルクスワーゲンについては全世界で供給するとの考えを持っており、フィアットへのアプローチも確実に進めており、海外OEでの存在感を高めていきたい」と語った。
補修用タイヤの販売体制は、広い国土をカバーするため、14の地区代理店と協業で顧客開拓を進めている。ブランド認知の向上とハイパフォーマンスタイヤの販売を目的とし、代理店直営小売店を順次開設している。直営小売店を13年度には乗用車用で50店舗、トラック・バス用で5店舗を目標に開設中で、15年末までに乗用車用で150店舗、トラック・バス用で20店舗まで拡大する計画を立てている。
CSR活動としては、雇用機会の創出、地域、近隣企業との良好な関係に努める。工場排水貯水池を活用した敷地内ビオトープ造成の計画、サッカーグランドの地域への解放も行い、スポーツ大会なども計画していく。
ブラジルでは堅調に成長を続ける経済のもと、独BMWが14年に南米初の工場を建設するほか、15年には独アウディが小型車などの生産を始めるなど自動車産業が急速に拡大しており、それに伴い自動車用タイヤの需要も増加している。
同社では、ブラジルの新車販売は今後年4%程度の安定的な成長が見込まれ、20年には500万台レベルの市場となると見込んでおり、国内保有台数も20年には約5800万台と日本と同規模になると予測している。国内の乗用車用タイヤの需要見通しも、保有台数増加に伴い、今後年率で5%以上で増加、20年は約6800万本のタイヤ需要を予測している。
経済成長を背景に着実に需要が伸びる一方で、同地域は高関税および遠隔地からの輸送による高物流コストのため、輸入品には不利な状況にあった。ブラジル工場稼働により、現地生産によるコスト低減が可能となる。 同社では中南米地域における生産販売体制をさらに強化し、20年に販売目標を補修・新車用タイヤともにシェア10%以上を目指す。