アキレス 農業用トンネル改修工法を受注開始

2013年10月18日

ゴムタイムス社

 アキレスは16日、側壁のクラックや、底盤の摩耗など、補修・補強が必要な全国の農業用水路トンネルを独自の技術で機能回復させる『FRT工法』を、21日から全国で受注開始すると発表した。
 FRT工法は島根大学、石川県立大学との共同研究により開発したもので、同社と民間3社(アップコン、岡三リビック、ジオデザイン)で受注を行う。販売先は、水路トンネル管理者(各地農政局、地方公共団体、土地改良区等)。
 農林水産省農村振興局の調査(平成15年3月時点)によると、農業用水路トンネルの総延長は2025kmに及んでいる。大正・昭和時期に施工されたものが多く現存しており、道路や鉄道のトンネルと比べるとトンネル断面が極めて小さく、人力施工されることの多かった農業用水路トンネルには、補修・補強が必要な農業用水路施設特有の変状が多く見られる。また、従来の農業用水路トンネルの施工技術水準ではコンクリート打設時に、トンネル天端背面に空洞が残されることがあった。空洞が存在すると、トンネル設計理論(外周から均一な垂直荷重が作用することを前提として、覆工内に引っ張り応力が発生しないように設計する理論)通りの応力伝播が不可能となり、農業用水路トンネル特有の変状が発生する根源となる。
 『FRT工法』は、「平成22~24年度官民連携新技術研究開発事業(農林水産省)」を活用して開発した特殊な現場発泡硬質ウレタンフォーム(以下、発泡ウレタン)を用いた工法。これまで機能低下を防止する「補修工法」とされてきたグラウチング工法(裏込注入工法)を、低下した機能を回復させる「改修工法」に進化させることができた。これにより従来の高価な改修工事が不要となり、施設管理者にとってはライフサイクルコストの低減が可能となる。
 この改修工法では、まず変状トンネルの天端背面の空洞を空洞充填用発泡ウレタンで埋め、さらに加圧用発泡ウレタンを充填、ウレタンの発泡圧によりトンネルが本来の機能を回復することができ、従来の強化プラスチック内張り工法に比べて施工期間が短縮され、約10%のコストダウンが可能。また、従来の改修工法である強化プラスチック内張り工法では、セメント系エアモルタルで空洞を埋めていたが、同工法に使用する発泡ウレタンは、このエアモルタルに比べて重量が約1/30と大幅に軽量なため、荷重負荷が軽減され、トンネルの延命化も図ることができる。
 さらに、同工法は小型設備で施工できるため、内空断面の小さい農業用水路トンネルでも経済的に施工することができる。
 『FRT工法』の施工条件としては、トンネル上部に空洞があり、スプリングラインにクラックが発生している箇所に対し、施設状態評価の結果を踏まえ、加圧式裏込め充填工法を適用する。クラックの発生が無く、空洞のみを充填する場合は空洞充填工法のみで対応可能。
 同社らは、「農業用水路トンネル機能回復技術研究会」として、10月30日から11月1日まで、東京ビッグサイトにて開催される「インフラ検査・維持管理展」出展する予定。

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