ソリューション・ビジネスを展開 ベルト事業でグローバル№1目指す
ブリヂストンはタイヤ以外の建築用品、工業用品、化成品、自動車部品、電材(OA部品など)といった事業を総称し、化工品事業と呼んでいる。その化工品事業では「選択と集中」を進めるとともに、タイヤ事業を始めとする事業間の連携を強化し、グローバルでソリューション・ビジネスを推進している。化工品事業の注力商品の需給動向及び事業戦略を望月基執行役員(化工品販売担当)に聞いた。
上期の需給動向について。
タイでコンベヤベルト生産へ
3つのセグメントに分けて説明させていただく。ゴムクローラ、コンベヤベルト、油圧ホースなどの産業資材は、前年同期に対し増収となっており、防振ゴム、自動車用シートパッドなどの化工品直需は国内の自動車生産台数の落ち込みで前年同期に比べ減収となった。化成品・インフラではユニットバス、プッシュロック、免震ゴムなどが伸びたものの、産業用化成品、OA部品が振るわず、ほぼ前年同期並みとなり、この結果、化工品事業の上期売上は前年同期並みで推移した。
産業資材では建設機械の減産によりゴムクローラ、油圧ホースが前年並みとなったが、コンベヤベルトは鉄鋼石、銅などの資源開発関連の輸出が好調に推移し、前年同期比2ケタの増収となった。
コンベヤベルトの国内需要では震災直後には発電プラント向けの搬送ラインの復旧対応をはじめ、ここへきて高台での復興住宅建設での搬送土砂の飛散防止からパイプコンベヤ需要も活発化してきている。また、主力の鉄鋼向けについては、ブリヂストンならではの付加価値をお客様へ提供するため、お客様の搬送能力の最大化に貢献する性能、機能を持った商品の提案を進めている。また、ゴムクローラでは被災地における農地等の汚染された表層土を効率的に剥離・回収することが可能な除染作業機向けの特殊ゴムクローラが採用された。
化成品・インフラでの動きは?
震災復旧に貢献するインフラ事業 免震ゴムの生産能力増強へ
震災の復旧から復興に向けてプッシュロックやユニットバス、免震ゴムの拡販を進めてきたがプッシュロックは復旧段階での仮設住宅で採用が進み、復興の面では本格的な住宅建設での需要が今後予想される。
プッシュロックは樹脂配管事業の一つとしてとらえているが、住宅用給水給湯用の配管システム工事で軽量化、作業効率の向上を望む声に対応して開発した「らく楽パイプ」が、水道工事の施工時間の短縮や施工者の作業負荷の軽減に貢献するという評価から販売も好調で、上期は震災復興需要、下期以降は消費税増税前の住宅建設の駆け込み需要が予想される。
免震ゴムは免震建物が少しずつ増えており、拡大のスピードが速くなっている。一般耐震では得られない安心、安全、快適を提供することで、命の安全だけでなく、家財も守るという免震独特の機能が評価され、免震ゴムは前年同期比2ケタの増収となった。震災以降、特に倉庫関係の免震化需要が高まってきており、1社だけでなく数社が共同で巨大な物流センターを新設するケースが増えているほか、一般マンションの免震化率も上がってきている。
下期の需要見通しは?
産業資材 通期でも2ケタ増予想
化工品事業全体では、売上高は前年同期に比べ増収、為替の円安効果に加え、原材料価格の低下、コストの最適化努力もあり、大幅な利益増を見込んでいる。
産業資材は通期でも増収を見込んでいる。今まで停滞していた海外需要も回復基調にあり、国内も景気回復の足取りがしっかりしていることから好調に推移するとみている。