クラレは25日、米ベンチャー企業への戦略的出資を8月に完了し、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
戦略的投資が行われたのは、太陽電池やディスプレイ向けの超防湿フィルム開発企業Vitriflex Inc.(以下、ヴィトリフレックス社)。
クラレは、長期企業ビジョンで描いた「世界に存在感を示すスペシャリティ化学企業」を実現させるため、コア事業の世界戦略を加速するとともに、「光学・電子」、「エネルギー」、「水・環境」の各領域において、次世代を担う新事業の開発を推進している。
このような状況下、将来の成長領域での有望な新技術探索機能を強化する目的で2011年よりカリフォルニア州シリコンバレーに拠点を設け、同社とシナジーのある技術を保有するベンチャー企業等と積極的に技術交流を進めてきた。
ヴィトリフレックス社は世界最高レベルのバリア性能(水蒸気透過率WVTR 10―6g/㎡/day)を持つ、透明防湿フィルムの製造技術を保有している。各種電子デバイスにおいては、デバイス本体を湿気や酸素から守るために、現在はガラスが使用されているが、ガラスを当該フィルムに置き換えることで、フレキシブル化、軽量化を達成することができるため、次世代電子デバイスにおいて鍵となる技術と言える。
同社は、同技術のさらなる発展が、「光学・電子」分野を重点強化領域に掲げる同社の方針と合致することから今回の出資を決定したとしている。同投資資金は、ヴィトリフレックス社の透明防湿フィルムの事業化加速に供される。
ヴィトリフレックス社は2010年に設立された、カリフォルニア州シリコンバレーに拠点を置く、フレキシブル電子機器向け超防湿フィルムの先端技術開発企業。同社の超防湿フィルムは、湿気と酸素に対する費用対効果の高い保護技術であり、電子デバイス製品の寿命と信頼性を向上させるとともに、フレキシブル化、薄膜化、軽量化、飛散防止といった付加価値を生み出す。同社製品は、フレキシブル太陽電池モジュール、次世代OLED・液晶ディスプレイ、照明用途などへの事業展開が期待される。
2013年10月29日