JSR リチウムイオンキャパシタ量産工場を新設

2013年10月31日

ゴムタイムス社

 JSRは10月31日、リチウムイオンキャパシタ(LIC)の事業会社JMエナジー株式会社において、量産工場を山梨県北杜市に新設し供給体制を強化すると発表した。
 生産能力は年間300万セルで、総投資額は約60億円。竣工は2015年1月を予定しており、2015年6月から順次出荷を開始する。延床面積は8400㎡。
 また、同時に、同社が従来から提供している扁平角缶型製品に対比して容積を2分の1以下まで小型化したULTIMO(アルティモ)小型扁平角缶型セルの上市を発表。新設する量産工場は、この小型セルタイプを含む扁平角缶型セルを工業規模で製造する。
 JMエナジーは2008年11月に世界初の大容量LICの量産設備を稼働させ、ULTIMOシリーズとして軽量薄型のラミネートセルタイプ(生産能力30万セル/年)と堅牢性に優れた扁平角缶型セルタイプ(生産能力12万セル/年)、更にはセルを連結させて高電圧で使用するためのモジュールソリューションをグローバルに提供している。この中で特に扁平角缶型は低電圧・据置型の産業機械から高電圧・移動体用途に至る幅広い分野で採用が進み、需要量の急速な拡大が見込まれることから、供給体制の強化、コスト面での市場優位性確保を目的として、今回年間300万セルの量産工場建設を決定した。
 新たに上市する小型扁平角缶型セルは、建設機械、産業機械、自動車など電源の設置スペースが限定されるためにシステム全体の小型化が優先される用途での旺盛な市場ニーズに応えた製品。扁平角缶型セルの持つ高い堅牢性、耐震動性を備えるとともに、小型化により、機器組込み時のフレキシビリティが高まる。小型タイプも従来タイプ同様、大きな需要量が見込まれるため、新設する角缶型セルの量産工場は従来タイプと小型タイプの併産が可能な仕様としている。
 LICは蓄電デバイスの一種である大容量キャパシタで、高出力密度、高エネルギー密度、高電圧といった特長を有する。特にULTIMOシリーズは、超低抵抗タイプで二次電池と比較して充放電時のエネルギーロスが圧倒的に小さく、高い信頼性・安全性と長期耐久性を兼ね備え、しかも電気二重層キャパシタ(EDLC)と同等以上である100万回以上の充放電が可能。急速充放電、エネルギー回生、ピークアシスト、電力平準化などの用途に採用事例が増えており、風力発電・太陽光発電などの再生可能エネルギー関連機器、瞬時電圧低下補償装置・建設機械などの各種産業機器、医療機器、無人搬送装置への搭載事例に加えて、各国の燃費・排ガス規制に対応するため自動車、バス、鉄道など移動体用途に向けた適用検討も加速している。
 なお、今回新設する量産工場には、ULTIMOを使用した瞬時電圧低下補償装置や工場内無人搬送車(AGV)、ULTIMOで自然エネルギーを取り込む外灯などを導入する予定。ULTIMOを応用した機器・装置を自ら最大限に活用して省エネを実現し、同社グループ全体での活動である「E2 イニシアティブ」を推進していくとしている。
 同社グループでは、JMエナジーを中核として、欧米の事業拠点との連携もはかり、省電力、エネルギー有効活用のキーデバイスであるULTIMOを、幅広い応用分野に提供していく方針。

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