国内の新工場建設相次ぐ

2013年11月05日

ゴムタイムス社

震災復興、次世代技術に対応

 ゴム企業でのグローバル展開が加速する中、今後本格化する東日本大震災の復興需要や道路など社会インフラの老朽化対応、2020年の東京五輪に向けた建設・土木工事の増加によるゴム製品需要増に対応した日本国内での新工場建設が相次いでいる。東海ゴム工業が京都に産業用ホースの新工場建設を発表、三福工業がカーボンマスターバッチの新工場、JSRはリチウムイオンキャパシタ量産工場、日本ゼオンは斜め延伸位相差フィルムの新工場をそれぞれ建設した。

◆東海ゴム 国内で7年ぶり、京都にホース製造会社新設

 東海ゴム工業は10月29日、建設・土木機械向けなどの産業用ホースの製造会社を京都府綾部市に新設し、2014年秋に稼働することを決定したと発表した。同社グループの国内での生産拠点設立は、2007年の㈱TRI九州(大分県豊後高田市)以来、7年ぶり。
 同社グループの産業用ホース事業は、国内2拠点で生産してきたが、設備の老朽化が進み、工場面積にも制約があることから、全国数十ヵ所の工場を候補対象に、土地・建物の取得について調査を進めてきた。その結果、京都府綾部市にある工場の土地・建物を買い取り、生産拠点とすることとした。
 国内では、今後本格化する東日本大震災の復興需要や道路など社会インフラの老朽化対応、2020年開催予定の東京五輪に向けた建設・土木工事の増加など、産業用ホースの需要増加が見込まれる。同社はこうした動きに対応するため、国内生産拠点を京都府綾部市の新会社に集約し、生産能力の拡大を図る。ホースの生産単長を従来の3倍にする新製法を導入するほか、工程の大幅短縮を実現することにより、低コストで高品質な製品の供給体制を強化し、市場シェア(占有率)拡大と事業展開の多角化を推進していく。
 新しい生産拠点は、同社が設立する100%出資の新会社が運営主体となり、既存の建屋を購入して新規に設備を投入することにより、工期短縮と投資抑制を推進し、効率的な事業運営を進めていく。初期投資は29億円を予定している。

三福工業、福島第3工場が完成CMB用の新型装置導入

 三福工業(栃木県佐野市・三井福次郎社長)は10月31日、福島県田村市の福島工場内にある新工場の完成に伴い、ユーザーに向けて見学会を開催した。
 新工場は同社の福島第3工場となり、ポリエチレンとカーボンブラックのマスターバッチに特化した製造工場となる。本格稼動は11月中旬を計画。
 月間生産量は200トン程度(マックスは300トンまで可能)を予定。
 新工場では、カーボンマスターバッチ用新型製造装置を設備することで自動化となり、基本的に24時間稼働で従業員は2人体制で行われる。また工場内は5Sを徹底した作りになり、具体的には、床はステンレスで従業員が清掃し易い構造で、集塵機も各階に設置している。
 第3工場は同社の福島工場(第1工場・第2工場)の敷地内に建設されたもので、4階建て、延べ床面積は405坪、約1300㎡。
 見学会当日は約70名が参加し、新工場の検査室から始まり、一連の製造設備等の紹介が行われた。見学会終了後、場所を移し、福島県田村市にある迎賓館辰巳屋で「福島第3工場完成披露パーティー」が開催された。
 冒頭、三井社長は「3年前に新工場の建設の話があった際に、建設する場所をどこにするかを従業員に聞いたところ、震災で福島県が厳しい状況であり、個人で出来ることはボランティア活動等をすることで福島県に貢献できるが、法人としては雇用を増やしたり、工場を建設することで福島県に貢献できるのではないかという意見がありました。会議では満場一致で福島県に新工場を作ることが決まりました」と新工場建設の背景を述べた。田村市副市長の志村和俊氏が来賓を代表してあいさつ、同社常務取締役森下清氏が乾杯の発声をした。
 パーティーの途中、粘り強く一体となって行っていくという由来をもつ伝統行事の「千本杵のもちつき」も行われた。  閉会のあいさつは同社取締役事業部長の三井福太郎氏が述べ、無事に完成披露パーティーが終了した。

◆日本ゼオン、 「斜め延伸位相差フィルム」敦賀の新工場が完成

 日本ゼオンは10月31日、福井県敦賀市で建設
を進めていた斜め延伸位相差フィルム新工場が完成したと発表した。
 敷地面積は約3万㎡で、生産能力は約1000万㎡/年。
 同社は、世界初の「斜め延伸位相差フィルム」を独自の技術で開発・生産してきており、今回の能力増強は、今後も需要が拡大する中小型用FPD(フラットパネルディスプレイ)などの市場要求に応えるもので、富山県内の既存の2拠点(高岡市、氷見市)に続く3番目の拠点。

◆ JSR、LICで量産工場、扁平角缶型セルを生産

 JSRは10月31日、リチウムイオンキャパシタ(LIC)の事業会社JMエナジー㈱において、量産工場を山梨県北杜市に新設し供給体制を強化すると発表した。
 生産能力は年間300万セルで、総投資額は約60億円。竣工は2015年1月を予定しており、2015年6月から順次出荷を開始する。延床面積は8400㎡。
 また、小型セルタイプを含む扁平角缶型セルを工業規模で製造する。

関連キーワード:

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー