タイヤコード①
前回、タイヤ加硫時に、異なる要求特性を持つゴム部材間の接着を確保することは,複雑な方程式を解くように難しいというお話をしましたが、実は、タイヤを作るには、もう一つ複雑な方程式を解かなくてはなりません。タイヤを加硫する際には、ゴム部材間の接着だけでなく、ゴムとタイヤの補強材であるタイヤコードとが接着するように設計しなければならないのです。タイヤコードは、鋼線あるいは有機繊維でできていて、人間のからだでいえば骨に相当します。タイヤコードがなければ骨のないタコのようにグニャグニャのタイヤになってしまいます。タイヤの部材としては、何本ものタイヤコードを織物を織る時の縦糸のように平行に並べ、上下からゴムシート(コーティングゴム)でサンドイッチ状に積層したプライ及びベルトのかたちでタイヤに使われます。