原料メーカー各社の3月期中間総括

2013年11月23日

ゴムタイムス社

  合成ゴム、化学メーカー各社の2014年3月期第2四半期決算における合成ゴム及びエラストマー製品の需給動向をみると、合成ゴム販売では国内の販売数量減を、為替円安による輸出の拡大でカバーし、全社(11社)が増収となったが、ブタジエン価格の下落や需給バランス悪化に伴う価格下落の影響で4社が減益となった。別表の( )内は合成ゴム、エラストマー製品を含む事業部門。
 ◆JSR
 売上高は前年同期比0・4%増の964億800万円、営業利益は前年同期比9・1%増の85億6700万円。エコカー補助金による特需の反動により国内合成ゴム販売数量はダウンしたが、海外向けの稼働の回復などにより全体の売上高は前年同期並み。定期修繕費用などのコスト削減により増収増益。
 ◆日本ゼオン
  売上高は同8・1%増の921億6700万円、営業利益は同2・6%減の106億5400万円の増収減益。合成ゴム販売は円安を背景にした拡販が奏功し販売数量を伸ばしたが、営業利益はブタジエン価格の下落に伴う海外子会社における市況の悪化等の影響を受けた。
 ◆三井化学
 機能性樹脂の売上高は同20%増、810億円、営業利益は同57・4%増、74億円の増収増益。自動車用部品及び樹脂改質材用途を中心とするエラストマーは円安効果及び北米を中心とする自動車用途の需要拡大に的確に対応したことにより、売上高が好調に推移した。
 ◆住友化学
 合成樹脂や石油化学品は原料価格の上昇により市況が上昇、ペトロ・ラービグ社における設備修繕の影響等により海外子会社の出荷が減少。円高の是正による在外子会社の邦貨換算差の影響があった。売上高は前年同期に比べ257億円増加し3689億円、営業損益は前年同期に比べ41億円改善し39億円の増収増益。
 ◆旭化成ケミカルズ
 ケミカルの売上高は3970億円、同19・5%増、営業利益は232億円、同59・1%増の増収増益。石化・モノマー系事業は、円安の効果に加え、スチレンモノマーの市況が改善。ポリマー系事業は、円安の効果に加え、エンジニアリング樹脂や省燃費タイヤ向け合成ゴムの販売が堅調に推移。
  ◆宇部興産
 化成品・樹脂セグメントの売上高は前年同期に比べ3億8600万円増の1097億5700万円、営業損益は20億9300万円の損失の増収減益。 ポリブタジエン(合成ゴム)はナフサ市況が高止まりする中、原料であるブタジエン市況の大幅な下落に連動し製品価格が低下、採算が悪化した。
 ◆電気化学工業
 エラストマー・機能樹脂の売上高は同14・4%増、796億6200万円、営業利益は同172・5%増、28億6700万円の増収増益。クロロプレンゴムは、販売数量増や円安による手取り増加により増収。スチレンモノマーやデンカシンガポール社のポリスチレン樹脂等は原燃料価格の上昇に対応した販売価格改定により増収。
 ◆東ソー
 特殊合成ゴムなどの機能性ポリマーを含む石油化学事業の売上高は前年同期比22・6%増、1098億4500万円、営業利益は同102・1%増、66億2400万円の増収増益。オレフィン製品は、非定修年による生産量増加に伴い、出荷が増加。クロロスルホン化ポリエチレンは、海外の需要回復により出荷が増加した。 
 ◆クラレ
 イソプレン事業の売上高は253億8800万円、同13・2%増、営業利益は20億6800万円、同99%増の増収増益。液状ゴムの需要は低調に推移したが、フアインケミカル、熱可塑性エラストマー『セプトン」の需要が回復した。
 ◆信越化学工業
 シリコーン事業の売上高は同15・2%増、755億6600万円、営業利益は同4・7%減、141億6400万円の増収減益。国内では自動車向けが堅調に推移したものの、電子機器向けは総じて低調。海外では欧米向けの機能製品に加え、中国向けの汎用品の出荷が伸びた。
 ◆ダイキン工業
 化学事業の売上高は同7・6%増の628億9700万円、営業利益は、市場での供給増を背景とした需給バランス悪化に伴う価格下落の影響が大きく、同50・8%減の46億4800万円の増収減益。 フッ素ゴムは、顧客の生産拠点の海外移転などにより国内の需要は低調であったが、海外での自動車を中心とする需要が堅調。

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