「第43回東京モーターショー2013」が20日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。23日から一般公開が始まり、会期は12月1日まで。主催は日本自動車工業会。
今回は「世界にまだない未来を競え」をテーマに、世界12国から178社が出展。タイヤメーカーをはじめゴム関連部品メーカーも多数出展した。
各社の展示のほか、主催者テーマ事業として「SMART MOBILITY CITY 2013」や「お台場フェス」などを開催。
前回に続き開催するSMART MOBILITY CITY 2013では、「KURUMA NETWORKING~くらしに、社会に、つながるクルマたち~」をテーマに、ITSを中心として「次世代自動車とそれらを取り巻く社会システム」を提示した。
一方、今回初めて実施する、お台場モーターフェスでは、若者やファミリーなどのクルマ低関心層と、クルマ・バイクの接点を強化し、クルマ・バイクファンを拡大することを目的に、クルマ・バイクのショー「シルク・ド・モビ」のほか、サテライト会場であるMEGA WEB で多彩なイベントを行う。
各社の展示のうち、タイヤメーカーではブリヂストン、横浜ゴム、住友工業、日本グッドイヤーが、また部品メーカーでは豊田合成、東海ゴム工業、NOK、大野ゴム工業などが出展し、来場者に技術力や製品をアピールしていた。
ブリヂストンは、「イノベーションを通じた持続可能な社会の実現」をテーマに、「資源を大切に使う」「CO2を減らす」の2つの領域にフォーカスを当て、同環境技術や環境対応商品を紹介した。
「資源を大切に使う」ための取組みを紹介するコーナーでは、リサイクル可能な原材料を採用した「非空気入りタイヤ(エアフリーコンセプト)」や、原材料使用量の半減を目標とした「ハーフウェイトタイヤ技術」などを紹介した。会場では非空気入りタイヤを装着した電動カートを公開した他、ハーフウェイトタイヤ技術を用いたタイヤと普通のタイヤの重さを比較する展示も行った。
「CO2を減らす」ための取組みを紹介するコーナーでは、転がり抵抗を大幅に低減させることで、CO2排出量の削減に貢献する狭幅・大径サイズのタイヤ「ECOPIAwith ologic」や低燃費タイヤ「ECOPIA」を紹介した。
3D映像とシートの振動や傾斜によりタイヤの走行を体感できるコーナーも設置した。
また、TVCMでお馴染の「タイヤカフェ」も再現された。
この他、MotoGPマシンの展示やランフラットタイヤ、スタッドレスタイヤ、環境タイヤ「エコピア」シリーズなどを展示した。
横浜ゴムは、「タイヤのグリップ性能を科学する」をコンセプトに、安全性にとって重要なグリップ性能を追求する企業姿勢や高い技術力をアピールした。
グリップ性能の訴求では、
普通のゴムと同社が開発した濡れた路面でもグリップするゴムを実際に水に濡らした状態で比較したり、2台のミニカーに転がり抵抗の大きいゴムと小さいゴムを装着しての転がり比較実験なども行った。
同社が低燃費タイヤからスタッドレスタイヤまで、あらゆるカテゴリーのタイヤにおいて優れたグリップ性能を追求している点をアピールした。
その裏付けとなる技術として、「オレンジオイル」をはじめとしたコンパウンド配合技術やスタッドレスタイヤの氷上性能向上メカニズムなど、高レベルな独自技術をパネルを用いて解説した。
未来を見据えた先進技術では、空気力学(エアロダイナミクス)を活用し、ホイールハウス内の空気の流れをコントロールして車全体の空気抵抗低減を図る「フィンタイヤ」を展示した。
そのほか、航空部品開発から生まれた超軽量かつ高強度なボディ設計技術、ハマタイト(接着剤)開発で培った異種複合材接着技術など、次世代モーターリゼーションの成長に貢献する技術を紹介。
また、これらの技術を結集して開発したEV(電気自動車)コンセプトカー「AERO―Y」も展示した。
住友ゴム工業は、地球環境の未来を守るために「タイヤにできることを!もっと!」をコンセプトとして、100年前に生産した「自動車タイヤ国産第一号」の展示から、世界初となる石油・石炭などの化石資源を全く使用しない「100%石油外天然資源タイヤ」の搭載技術まで、ダンロップの最先端タイヤ技術をわかりやすく紹介した。 その他には、50%転がり抵抗低減タイヤのプロトタイプやプレミアムランフラットタイヤプロトタイプの展示も行った。
東海ゴム工業は、安全・快適・環境をテーマに、未来のモビリティ社会に貢献する新技術・新製品を出展した。その中でも生体反応検知技術、騒音低減、軽量化による燃費向上技術を中心に解説した。
新技術では、同社独自開発のオールゴムの触覚センサ「スマートラバー(SR)センサ」の体圧検知機能などを活用し、シートに座ったりハンドルを握ったりするだけで運転者の状態を把握できるコックピット型デモ機「SRコックピット」を出展した。運転者の座席での体圧変化を解析することで着座姿勢を推定、安全で快適な運転アシストへの活用が見込まれている。ハンドルを握っただけで、心拍数が表示されたり、ラバーの上をなぞるだけで、スマホのように画面が動かせるなどの新技術が紹介された。
新製品では、放熱性を持たせた吸音材で快適な車室空間を実現する「磁気誘導発泡ウレタン(MIF)」や、材料設計から見直して耐久性と軽量化を両立した自動車用防振ゴム、超軽量化ラジエターホースなど、環境への負荷を低減できる低燃費車・小型車向け製品開発への取組みを紹介。
磁気誘導発泡ウレタンを防音カバーとして装着したモーターとむき出しのモーターを比較する体感デモ機も展示し、吸音性をPRした。
また、同社の自動車関連製品ラインナップや、超軽量レッドレストや自己切替エンジンマウント、ソフトエンジンカバーなどコア技術を実物、パネル両方で訴求した。
日本グッドイヤーは、オールシーズンタイヤ「ベクターフォーシーズンズ」をメインにブースを設計した。
未来の自動車「ベクター号」をブースそのものとして見立て、子どもから大人まで楽しくオールシーズンタイヤについて学ぶことができるステージも設置した。3D映像を駆使して、ベクターフォーシーズンズの特長をわかりやすく解説した。
その他、グッドイヤー各種製品や、アポロ14号月面探索専用のムーンタイヤのレプリカや月面探査車の模型なども展示した。
豊田合成は「ゴム・樹脂・LED技術で、安全・快適で環境に優しいクルマづくりに貢献」をテーマに、エアバッグなどを搭載した「安全・環境ワイヤーモックデモカー」や、体験型の「エアバッグシミュレータ」、めっき・塗装などの加飾技術を用いた「高意匠ラジエータグリル」などを展示。
安全安全・環境ワイヤーモックデモカーでは、安全性能と環境性能の向上に貢献する製品の、搭載位置や特徴を分かりやすく紹介した。
具体的には、安全性能向上に貢献するのは、各種エアバッグや「ポップアップフードアクチュエータ」などで、環境性能向上については「軽量ウェザストリップ」や「樹脂フューエルフィラーパイプ」「車載用LED照明」など。
エアバッグシミュレータでは、エアバッグ展開を模擬的に体験。加飾・多機能製品では、めっき・塗装などの加飾技術を駆使し、ユーザーの多様なデザイン嗜好に対応した「高意匠ラジエータグリル」や、多彩な機能を搭載した「多機能コンソールボックス」などを展示した。
さらに、将来のハンドルを提案する「インタラクティブ スマートハンドル」コンセプトも参考出品した。
NOKは低燃費に貢献する技術や導電性ゴム・低反力ゴムなどの新機能の提案などを行った。
低燃費に貢献する技術としては、摩擦トルクを50%削減するオイルシールに関する技術、部品一体化により組み付け信頼性を向上したオイルフィルター付きガスケット、エンジン停止時の油圧を保持するCVTプーリー油圧保持用パッキンなどを紹介。
新機能の導電性ゴムは、電磁波シールド性と防水・防塵性を兼備した製品で、電気自動車で使用。低反力ゴムは、燃料電池スタック用ガスケットなどに使われる。
このようにガソリン車だけでなく、次世代自動車にも対応する技術・製品も提供できることをアピールしていた。
自動車用ゴム部品メーカーの大野ゴム工業は、日本自動車部品工業会のブース内に出展した。
今回の展示では、定番のステアリングブーツやドライブシャフトブーツ、ダストカバーブーツなどの他、新開発のリフトパッドや金属部品であるナットなども展示。
このうちリフトパッドは整備工場で使われるリフトの交換用パッドで、かなりの引き合いがあるため、今後ラインナップを拡充していくことを紹介していた。
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