クラレは21日、同社と米国デラウエア州のE. I. du Pont de Nemours and Company(以下「デュポン社」)が同日、DuPont社の一部事業を買収することに合意したと発表した。
2社はデュポン社の「パッケージング&インダストリアルポリマーズ」の一部であるビニルアセテート関連事業(以下「VA関連事業」)をクラレが5億4300万ドルおよび当該事業に付随する在庫相当額にて買収することについて合意し、そのための契約に調印した。所管当局の正式な承認を経て、2014年前半の完了を目指す。
同買収は、クラレのコア事業の1つである「ビニルアセテート系事業」の拡大戦略の一環として実施するもの。
デュポン社のVA関連事業は、安全ガラスの中間膜として使用されるポリビニルブチラール(PVB)シートのほか、ビニルアセテートモノマー(VAM)、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂など、建築分野・自動車分野等広範な産業分野において使用される製品群を有しており、有数の実績がある。同事業の年間売上高は5億ドル以上(2012年12月期実績)で、同事業には約600人の従業員、アメリカ、ヨーロッパ、アジアにおいて計6ヵ所の製造拠点、350社以上の顧客を世界中に有している。
世界に先駆けてPVAの工業化に成功したクラレは、VA関連事業のパイオニアとして、PVA樹脂、PVB樹脂・フィルムのほか、液晶ディスプレイや洗剤個包装などに使用されるPVAフィルム、食品包装やガソリンタンクなどに使用されるEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂(クラレ商標「エバール」)、アスベスト代替のセメント補強材料などに使用されるPVA繊維ビニロンを世界的に展開している。
クラレは、同社にとって、デュポン社のVA関連事業に携わる世界中の優秀な人材、そして長年当該事業を支え続けてきた技術力・開発力および生産・販売網は、今後VA関連事業を持続的に成長させる上で大きく貢献するものとしている。また、デュポン社にとっても、PVAを中心とするVA関連事業をコア事業の1つに据え、さらなる投資を続けているパイオニアであるクラレへの事業移管は最適の選択と考えられるとしている。
今後の見通しとしては、事業譲受の完了期日を2014年前半に見込んでいるため、クラレの2014年3月期の連結業績に与える影響は発生しない見込み。また、次年度以降の連結業績に与える影響については、現在精査を続けている。
2013年11月22日