鬼怒川ゴム工業は11月22日、都内で2013年度上期決算説明会を開催し、関山定男代表取締役社長が説明を行った。
同社の上期の連結売上高は前年同期比5・8%増の364億9200万円。地域別で見ると、国内は減収だったものの、米国は主要得意先の生産台数の増加とメキシコ拠点の生産車種増加により増収、アジアはタイでの生産車種増加によって増収となったことから、全体では増収となった。
営業利益は36億7500万円で同6・4%減。国内の売上減少と新車立上げに伴う一過性コスト増により減益となった。経常利益は為替差益などにより40億4100万円で同2・5%の増益となった。
積極的な投資により総資産は577億1500万円で、同18%増となったが、自己資本比率は50・2%を確保。借入金残は84億5000万円と、前年同期に比べ15億4000万円増えたものの、年度末では70億円程度に圧縮される見込み。
今年度の主な利益改善活動としては、部門間でチームを作り、日本の優れた方法をスピーディーに海外の各拠点に展開する、基準・標準の展開に加え、様々な改善活動を同時並行的に推進。原材料の現地化・汎用化による、グローバル最適調達にも取り組んでいる。
今年度の設備投資額は、約35億円を計画。2015年の中期経営目標である、売上高1000億円を達成するためのインフラ整備を進めており、今年度がピークとなる。
投資を圧縮するため、段階投資・設備の現地調達化を行うとともに、設備稼働率改善による現有設備能力の向上にも注力。効率的な投資により、営業キャッシュフローの範囲内で投資が賄えている状況だ。
通期の業績見通しについては、主に米州・アジア地域の受注増・生産増により増収を見込む。利益は増収に伴う操業度の増加、一過性費用の減少、グループ構造改革の推進により増益となる見通し。
地域別では、日本は若干の減収減益となるものの、国内各拠点で利益率を向上させる体制づくりに取り組む。米州は黒字化が達成できる見込みだが、利益の絶対額・率ともに改善の余地があるため、一過性費用減少と生産性向上活動を実施する。アジアは中国の生産台数回復などにより増収増益となる予定。
これにより、通期の連結の売上高は725億円、営業利益77億円、営業利益率10・6%を見込んでいる。
今年度の新規拠点の展開としては、ロシアで今年会社を設立し、来年6月から生産を開始。顧客は当面、ロシア日産だが、ルノー、フォルクスワーゲン、アフトワズにも供給する。
インドは来年早々に生産を開始。インド日産の新車を受注しているが、それ以外の顧客への拡販を図る。
インドネシアは昨年7月から生産を開始し、ダイハツ工業やスズキ、日産に対応できる拠点となっている。
中国については、鄭州は来年2月に生産開始予定。日産の拠点の一つである鄭州日産を主要な顧客とするとともに、隣接する現地資本のゴム会社「河南科威」と共同で工場を造り、車体シールと防振部品、型物部品を製造する。
また蕪湖では9月に生産を開始し、奇瑞汽車などの顧客に車体シール、ホース、防振部品を販売している。
メキシコでは来年4月に工場を拡張。メキシコ日産、ホンダ、マツダ、フォルクスワーゲンなどに車体シール、ホース、防振部品を供給する。
ブラジルは来年4月の操業開始に向け、現在、設備の試運転を行っており、日産、フォルクスワーゲン、フォード向けの拠点となる。
これらインフラの整備により、グローバルで1000億円の売上を達成する見込み。内訳は、国内が約550億円、中国が300億円弱、アセアンが100億円弱、米州が150億円強となる。
2013年11月30日