ランクセス トラック用エコタイヤの燃費テストを実施

2013年12月01日

ゴムタイムス社

 ランクセスは11月27日、「トラック用エコタイヤに関するプレスセミナー」を東京・丸ビルコンファレンススクエアで開催した。同セミナーで同社は、化学業界向けロジステックスプロバイダーの独TALKE社と協力し欧州にてトラック用タイヤの路上テストを実施したと発表。その結果、「エコタイヤ」を装着したトラックは標準タイヤ装着車両と比べて燃料消費を約8・5%低減し、運送会社およびロジスティック会社は年間数百万ユーロ(数億円)単位の経費削減が可能となる他、CO2排出量を大幅に削減できることがわかったと報告した。
 同社ペーター・ワインマール代表取締役社長は「今回の報告が、当社が日本企業の皆様にどのような貢献ができるかをお考えいただく機会になれば幸いです」とあいさつした。
 続いて、ランクセスAG(スイス)のアクセル・ヴァーセン、コーポレート パブリックアフェアーズ バイスプレジデントが同テストの詳細を報告。同テストは2013年8月から10月の期間に実施し、TALKE社が使用するトラックと同仕様の40トントラック2台が、ドイツのヒュールス~フランスのルース間の同じルートを30往復走行した。1往復あたりの走行距離は約650km、うち高速道路の走行距離は635km。テスト車両2台の運転手、積載重量、燃料補給方法は常に同じで、テスト期間中の車両総走行距離は4万kmとなった。EUでは現在、全ての車両を対象としたタイヤのラベリング制度を義務化。各タイヤの転がり抵抗(燃料消費)をA(最上級)からG(最下級)まで等級付けし、ウェットグリップ性能(安全性)と転がり騒音に関する情報を消費者に提供している。テスト車両は同じ燃料消費量であることを確認するために、最初は2台とも同制度でB等級に分類された「エコタイヤ」を装着。テスト走行が半分終わった段階で、1台のみD等級の標準タイヤを装着した。その結果、エコタイヤを装着したトラックは走行距離100kmあたりの燃料消費量が25・4リットルとなり、標準タイヤ装着車両より約8・5%燃料消費を削減した。また、エコタイヤ装着車両のCO2排出量は、標準タイヤ装着車両に比べ1万kmあたり約700kg低減となった。報告の最後にヴァーセン氏は、同社が今年8月から提供している「運送車両向け計算アプリ」を紹介。同アプリを使用することで、運送会社は「エコタイヤ」に切り替えた場合、長期的にどれくらい燃料を削減できるか自社で計算することが可能で、「エコタイヤ」に投資したメリットと保有車両の二酸化炭素排出量の削減値を計算することができると説明した。
 次に、同テストの検証を行った第三者認証機関テュフ ラインランド ジャパンのヴァルター・シュルツ運輸・交通部長が登壇。同テストの分析結果から、例えば40トントラック300台を有する運送会社がエコタイヤを装着した場合、削減経費総額は年間で150万ユーロ(約2億300万円)、追加投資費用は同5万5000ユーロ(約740万円)、実質削減額は同145万ユーロ(約1億9600万円)となり、CO2削減量は同3150トンになると試算した。
 質疑応答で、化学会社である同社がタイヤについての検証活動を活発に行う理由を問われ、同社ワインマール社長は「当社は高性能合成ゴムメーカーの中でリーダーシップを取る立場にある。エコタイヤ向け高性能ゴムを提供することで環境問題を含めた社会貢献を果たし、それが事業拡大と利潤追求につながると信じてプロモーション活動を行っている」と答えた。

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