謹んで新春のお慶びを申し上げます。
景気低迷、デフレ経済打破のため金融政策、財政政策が矢継ぎ早に打たれて1年が経とうとしております。最近発表された経済指標では家計、雇用、企業の各部門とも改善が示され、消費者物価指数も年後半には上昇に転じました。個人消費でも消費環境の好転を受けて高級品、高機能商品などの購入が活発となり、一連の経済対策による効果と判断されています。
履物類においても需要は底堅く推移しました。価格志向から価値志向という流れは履物消費行動にも現れて、高級婦人靴の売れ筋が10万円に上がった、という新聞記事も目にするほどでした。特異な例は別にしても確実に消費者は商品そのものからデザイン、機能等の価値を見出だすようになり、少々価格が高くても購買につながっています。消費者側の統計を見ても購入単価アップなど回復の兆しが鮮明になっている一方、小売物価統計ではメーカー品も含めて概ね低迷が続いています。ゴム履物類も長らく低価格化への対応に逐われて、消費者の価値重視という嗜好の変化と多少の隔たりが生じているのかもしれません。小売業界がつかんでいる消費者情報を如何に共有化できるのか、メーカーは小売店の要望に応えることができるのか、消費に変化が生じている今こそ大きなテーマとなってきました。
価格対応から価値対応へというスローガンを掲げてはみても、現在ゴム履物業界の経営を大きく圧迫する円安進行に直面していることは事実です。円高是正は景気上昇のためには必要と云われ、延いてはゴム履物の需要回復につながるため耐えなければならない逆風と受け止めてきました。しかし1年で20円近くの下落や、今後のアメリカ情勢等によっては更なる円安の可能性もあり、ましてや輸入ゴム履物では中国の製造部門での高離職率が品質に影響を与えて、その対応のためメーカー負担が増しております。新たな潮流に乗ることも必要ではありますが、ゴム履物にとって暫くはコストと価値の両面対応に迫られる事態となりそうです。
難しい舵取りの新たな年は4月に消費増税が実施されます。例え本体価格(税抜価格)に変更はなくても税込価格は上がりますので、消費者は値上げと受け止めるおそれがあります。消費低迷につながりかねない誤解は絶対に避けるという考えから、本会ではカタログ等には本体価格を表示し、別途消費税「例:○○円+税(漢字)、○○円+消費税額」という方法を検討しております。さらに駆け込み需要とその反動の影響をなるべく小さくさせるため、小売業界、メーカーの需要予測や消費者への商品お届けなど、お互いの緊密な連携が必要となります。立場は異なってはいても同じシューズ業界に携わる者同士、消費者の期待に添っていきたいと願っております。最近の専門店による売上高は堅調に推移しているようで、低迷していた百貨店も回復の兆しが見え始めてきたと云われています。本格的な日本経済の回復とともに、靴専門店、百貨店やスーパーなどの靴売場にも活気が戻ると信じています。是非とも地に足をつけて業界全体が発展する年になることを祈って止みません。
2014年01月07日