2014年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。平素は格別のご愛顧とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
ミシュラングループは、依然需要が低迷している欧州をはじめとする成熟市場において苦戦を強いられ、更には為替の影響も大きく受けましたが、新興市場においては需要が拡大し、全体的には好調な業績を収めることができました。日本国内の市場においても、景気回復の兆しを受け、直需(新車装着)市場が成長を見せるなど状況が好転しています。その一方で、2012年度から続いていた原油をはじめとする原材料価格の高騰を受け、生産性向上やコスト削減などの企業努力を行ってきましたが、それだけでは吸収しきれずにやむなく日本においても価格改定を行わせていただきました。お客様ならびに販売店の皆様にとっても厳しい年でありましたが、ご理解を賜ることができました。
2013年にミシュランは、乗用車用と二輪車用のタイヤにおいて新製品を日本市場にも投入いたしました。乗用車用タイヤでは、2月に定評ある低燃費はそのままに更なる安全性を追求した「MICHELIN ENERGY SAVER +」を、そして6月には「静かでゆったり」と「高速での爽快感」、どちらも妥協できないというユーザーのニーズに応える「MICHELIN Primacy 3」を発売しました。また、二輪車用タイヤでは、スポーツラジアルタイヤ「MICHELIN PILOT POWER 3」を含む6種類もの新製品を日本市場に展開しました。
これらすべての製品に共通するのは、「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」です。あるひとつの性能だけが優れたタイヤではなく、タイヤに求められるあらゆる性能も犠牲にせず、すべてを水準以上へと追求し続けようとする製品作りを意味しています。これは製品作りの基本的な考え方として創業以来引き継がれている、いわばミシュランのDNAのようなものです。
2012年4月に業界で初めて実施した「ミシュラン満足保証キャンペーン」は、購入から60日間、お客様が万が一製品に満足されなかった場合、対象商品の購入代金を返金するというキャンペーンで大変好評をいただきました。それを受け、2013年には、期間限定のキャンペーンではなく、通年ご利用いただける「ミシュラン満足保証プログラム」へと変更しました。対象製品は「MICHELIN Pilot Sport 3」と「MICHELIN Primacy 3」の2つで、このプログラムを通して「ミシュラン・トータル・パフォーマンス」をより多くのお客様に実感して頂ければと思います。
トラック・バス用タイヤにおいては、燃料価格の上昇や、CO2排出量や廃タイヤの削減など、いかに環境負荷の低減を推進するかということが大きなテーマになっています。そのような環境下で、「新品のロングライフ(Reduce)」「リグルーブ(Reuse)」「リトレッド(Recycle)」によりタイヤの寿命を最大限に伸ばすという「ミシュランの3R」コンセプトに基づき、後輪に装着されている2本のタイヤ(ダブルタイヤ)を1本にし、軽量化による積載効率や燃費性能の向上など様々なメリットをもたらすシングルタイヤ「X One」の導入事例が増えてきています。ミシュランのユニークなソリューションが日本のユーザーの皆様に受け入れられてきていることを実感しています。今後も引き続き、サポート体制の整備などを積極的に進めて参ります。
日本で7年目を迎えることができたガイドブック事業においては、「ミシュランガイド関西2014」を10月に、「ミシュランガイド東京・横浜・湘南2014」を12月に刊行し、「ビブグルマン」というコストパフォーマンスの高い調査員おすすめのレストランも新たに紹介し、より幅広いシチュエーションで使えるセレクションを掲載しました。さらに、2012年に発行した北海道版に引き続き、新たに「ミシュランガイド広島2013特別版」を5月に刊行し、多くの人の喜んでいただいております。
タイヤメーカーの高い技術力が競い合うモータースポーツにおいても、ミシュランは2013年も積極的に参戦いたしました。日本で高い人気を誇るシリーズであるSUPER GTのGT500クラスにおいては、昨年に引き続き参戦し、#1 REITO MOLA GT―R、#18ウイダーモデューロ HSV―010、そして#23MOTUL AUTECH GT―Rの3車輌にタイヤが装着されました。また3年振りの復帰となったGT300クラスにおいては、#61SUBARU BRZ GT300と共に参戦。初年度にも関わらずシリーズ4位という好成績を残すことができました。GT500クラスにおいては、3年連続チャンピオン獲得の夢は惜しくも破れましたが、来年に向けて新たな挑戦を続けて参ります。
2014年も引き続き、世界に向けた冬用の乗用車用タイヤの研究・開発、そして新興市場の工場への技術的なサポートなど、ミシュラングループの3つの研究・開発拠点の1つである群馬県太田市のR&Dセンターから世界へ積極的に発信をして参ります。
更に、新製品もいくつか発表する予定です。景気回復の兆しは見えたとはいえ、成熟市場の中にいる日本人のお客様は、イニシャルコスト重視の考え方から、品質の高いものを長く使うというランニングコスト重視の欧州的な考え方に移ってきていると感じています。「トータル・パフォーマンス」の考え方で作られたミシュランタイヤ、そして、「ミシュランの3R」や「X One」などのユニークなソリューションは、日本人のお客様の意識が変わりつつある今こそ、ミシュランのビジネスチャンスだと考えています。2013年9月には東京のオフィスも移転し、ワンフロアになった新しいオフィスで、このビジネスチャンスを逃さないよう、あらゆる分野の社員が一丸となり、日本の皆様へのサービスの向上に努めていく所存です。
ミシュランは、1964年の東京オリンピック開会に合わせて開通した、浜松町駅と(旧)羽田駅間を走るモノレール車両にタイヤが採用されたことをきっかけに日本市場でのビジネスを開始しました。2014年は、私たちにとって、記念すべき50周年ということになります。
本年も皆様から一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
2014年01月08日