自動車上向きゴム製品需要に明るさ
メキシコ進出が加速 自動車用ゴムメーカー工場建設相次ぐ
2013年は、アベノミクスへの期待や東京オリンピック開催決定などから、日本経済の回復に向けて明るさが見えてきた1年だった。ゴム製品需要は、海外での自動車生産が堅調に推移したことから、自動車用部品メーカーを中心に業績が上向き、上場ゴム関連メーカー24社の2014年3月期中間決算では、収益で明暗が分かれたものの、約9割の企業が増収となった。中国をはじめ一部新興国での景気減速や、消費税増税の影響という懸念事項はあるものの、2014年は本格的な景気回復への歩みが期待される。本紙選定の10大ニュースをもとに、2013年を回顧した。
1.タイヤメーカー過去最高益更新相次ぐ
タイヤメーカー各社が2月に発表した12年12月期連結決算では、過去最高益の更新が相次いだ。値上げの浸透、原材料価格低下に加え、期末にかけて円安が進行したため利益を大幅に押し上げた。
ブリヂストンは過去最高益を達成。横浜ゴムは過去最高の売上と利益を達成。東洋ゴム工業は決算月を変更したため9ヵ月決算だが、比較参考値で過去最高益を更新した。
13年の業績でも円安と原材料価格安定に加え自動車生産回復が寄与し、各社とも好調をキープ。通期の連結業績予想では前年をさらに上回る最高益を見込んでいる。
2.自動車用ゴムメーカーの海外進出続く
メキシコで自動車メーカーのシェア競争が激化したことを受け、自動車用ゴム部品メーカーの同国進出が相次いだ。
西川ゴム工業は1月、現地拠点で開所式を開催。豊田合成は8月、ゴムホース生産の新会社を設立。横浜ゴムは8月、米子会社がエアコンホースの生産を開始。山下ゴムも1月、現地子会社が防振ゴム生産のため第2工場を建設。モルテンは5月、ゴム部品と樹脂部品の販売子会社を設立。タイガースポリマーは8月、現地工場で試作を開始。東海ゴム工業は、ドイツAnvis社と合弁契約を結び、新会社を設立した。
一方、東海ゴム工業は2月にイタリアのDytech社、5月にAnvis社、7月にブラジルのProduflexMG社を買収。10月にはインド北部に新工場を完成し、グローバル供給体制を強化している。
また、東洋ゴム工業は4月、タイで高機能樹脂製等速ジョイントブーツの製造を開始した。
3.工業用ゴム製品需要に明るさ見える
日本ゴム工業会がまとめた13年1―6月計のゴム製品生産・出荷実績によると、主力の自動車タイヤと自動車用ゴム製品のマイナス実績が月を追って縮小。震災復興需要で好調なコンベヤベルトや景気のバロメーターといわれるゴム板、港湾整備用防げん材など一般工業用ゴム製品の生産が前年実積を大きく上回るなど、下期に向けてゴム製品需要に明るさが見える結果となった。
それを裏付けるように日本ゴム工業会が7月にまとめた13年1―3月計の合成ゴム品種別出荷実績によると、輸出向け出荷が16万1197トンとなり前年同期比16%増と2ケタ増。日本自動車タイヤ協会(JATMA)も7月、13年の自動車タイヤ国内需要見通しを97万本増の4432万本に上方修正した。