横浜ゴムは12月19日、紫外線硬化型ハードコート材「HRシリーズ」で、パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイから発せられるブルーライトをカット(減衰)する機能を付与する新技術を開発したと発表した。
開発したのは「HR375―550G」と「HR375―1」の2タイプで、それぞれ異なるブルーライトカット技術を採用している。両製品とも無色透明性に優れるのが特徴で、画質や色調を損なわずに使用できる。液晶ディスプレイの保護フィルムとして、すでにデジタル周辺機器メーカーの大手数社に採用されている。
ブルーライトは紫から青色に見える短い波長の可視光線(380〜495mm)で、他の可視光線のように角膜や水晶体で吸収・散乱されることなく網膜まで達する割合が多いことから人体に悪影響を与える可能性が指摘されている。近年、ブルーライトカット機能を持つ様々な製品が販売されているが、その多くが青色光を広い範囲で吸収してカットするために黄色味を帯びたり透過率を抑えたりしており、色彩再現性や美観性が損なわれるデメリットがあった。
「HR375―550G」は「青色光選択反射」技術を採用している。これは、ディスプレイ内部から発する光線のうち、450nmを中心としたブルーライトをコーティング層で反射させカットすると同時に、ディスプレイ表面において自然光に含まれる青色光の反射を利用し、青色を補うという仕組み。この複合技術により、ブルーライトカットと黄色味の低減を両立した。こうした技術の実用化は世界で初めて(特許出願中)。
一方、「HR375―1」は「紫色光選択カット」技術を採用している。コート材に特殊な素材を配合することで、ブルーライトの中でもより短い波長(=紫色)のみカットすることを可能にした。全体では青の色調が残るため、無色透明性を確立しながらブルーライトカットを実現している。
ブルーライトをカットするには、ディスプレイの外側にフィルムを貼る方法以外に、カバーガラス内側へのフィルム貼り付け、タッチパネルを構成するフィルムへの応用なども可能であり、今後はアフター・マーケット用フィルムをはじめとして応用分野を探り、販売拡大を図る。
2013年12月19日