グループの根幹であるゴム事業の黒字化を目指し、新製品の開発や海外展開などを積極的に進めている昭和HD。昭和ゴムの渡邉正社長に、ゴム事業の販売計画や事業戦略を聞いた。
―上期のゴム事業を振り返って。
一言で言って、非常に厳しかった。
当社のゴム事業には、ライニングやプレス成形品などの工業用品と食品医療の2部門があり、工業用品、特にライニングは、売上が前年度比で20%以上下がった。
ライニング不振の要因を単純に言ってしまえば、顧客の設備投資がまだ回復していないこと。設備投資を抑えて、メンテナンスで凌ごうとしているため、当社の売上比率も、通常なら新規物件とメンテナンス物件は7対3ぐらいなのに、6対4程度になっている。それほど新規物件が減っているということだ。
プレス成形品の販売は、ほぼ横ばいというところだが、当社の成形品は、ガスケットや圧搾機用ダイヤフラムなど大型製品がメインで、顧客の受注に100%依存しているのも厳しい一因である。ただし、食品医療用品については前年度に比べ上向きで、営業利益を出せる状況になってきた。
こうしたことからゴム事業全体としては上期は減収減益で、国内市場だけでは厳しいということを実感している。
―海外事業については。
マレーシアに昭和ラバーマレーシア(SRM)というゴムライニング工場があるが、ここも今期は前期より売り上げがかなり落ちた。
その原因の一つは、当社のメイン顧客が現地からの撤退を決めたこと、もう一つは、マレーシア国内のライニング需要のほぼ8割はSRMが受注していると言われていたが、最近はローカル企業に流れているのではないかと考えられる。
シンガポールはほぼ飽和状態に近いので、マレーシア国内での営業方法の見直し、ベトナムやインドネシアでの市場開拓と合わせて、アセアンでの協力工場の探索を進めている。この地域で対象となるのはプラント建設関係。中でも鉱山開発プラントが主なターゲットとなる。
中国市場については、昭和HDが青島に駐在事務所を開設し、ゴム事業に関しては安価ゴム資材の調達、中国での生産委託先及び技術協力先の探索を進めている。