「グローバルベースでのコスト競争力の強化と、海外生産拠点の拡充」を推進する山下ゴム。鵜飼脩社長に今後の事業戦略について聞いた。
―13年を振り返って。
当社は第11次中期経営計画の中で、5年、10年先の市場を捉え、グローバルベースでのコスト競争力の強化と、海外生産拠点の拡充、グローバル最廉価調達の徹底、内製化の推進を進めてきたが、13年はピークを迎えた年であった。グローバル展開の拡大では新しい拠点づくりに加え、メキシコの拡大、タイの第2工場の稼働、ベトナム、インドネシアへの展開が重なった。
また、海外展開の拡大に伴い、生産シフトを大きく変えてきた。アメリカではアメリカ工場からメキシコへの生産移管を進めてきており、日本の場合も埼玉工場を三重工場に統合する一工場化を進め、押出し部品をタイ工場へ移管、なおかつ新しい機種への対応品をタイで生産するなど大きく生産をシフトしてきている。
さらに、これまでは原料、部品の調達については日本を中心とする調達構造であったが、グローバル展開の拡大に伴い、この調達構造を現地調達化に切り替えるスタートの年でもあった。現地調達化は道半ばであるが、べトナムへの研究開発機能、本社機能移管も緒に付いており、点数でいうと70~80点で、まずまずであったと思う。
―通期の業績見通しは。
14年3月期上期連結決算は当社の主要顧客であるホンダの完成車販売が全世界で順調に拡大したことから売上高は304億1900万円、前年同期比17・8%増の増収となり、経常利益は為替円安が寄与し19億4000万円、同163・5%増の大幅増益となった。
ホンダの全世界での完成車生産台数の増加で同社の海外子会社の業績がいずれも順調に拡大し、前期、尖閣問題で大きく減少した中国はじめ、景気回復が顕著となった北米、タイも売上を伸ばした。通期業績見通しも売上高630億円、経常利益は期初計画を5億円上回る30億円に上方修正した。海外売上高比率は75・3%(前期69%)となった。