LEDや医療用ガスケット、RFID(電波による個体識別)タグ、マイクロ流体チップなどで「独自性」を追求した製品づくりを行っている朝日ラバー。伊藤潤社長に各事業の現状や今後の方針を聞いた。
―13年を振り返って。
前期は医療とスポーツ関連が在庫調整などにより、やや不振だった。しかし今期はそれらの製品の在庫調整が終わり、中国についても自動車はだいぶ持ち直した。これにより、医療・スポーツ関連が回復、自動車関連の受注が増え、LEDも過去最高の数量となっている。そのため、生産が追い付かず、年末は休日出勤も行って対応するほどだった。
ただ数量は増えているものの、単価は下落している。特にLEDについてはかなり安くなっているので、本来なら数量に伴って金額が増えなければならないのだが、ほぼ横ばいという状況だ。
また電気料金が上がり、今のところ問題がない材料費も、年明けから影響が出てくると思う。天然ゴムも不透明で、玉不足への懸念もある。
―LEDの値下がりの原因は。
競争激化のためだ。自動車用はそれほどでもないが、特殊照明や一般照明には、韓国や台湾などのメーカーがかなり安い価格で参入してきている。
―他のセグメントは。
医療については、本来なら今期、新しいサイズの注射器用ブチルガスケットが立ち上がる予定だったが、顧客側の調整が入り3ヵ月遅れた。
そのずれで売上や利益の計上に遅れが出た一方、工程の準備や人員を割いていたので費用はかかった。このため、医療事業の伸びは見込みを少し下回っている。
卓球用ラバーについては在庫調整が完了したので、ピークに戻りつつある。売れ筋製品も伸びており、今年のゴールデンウィークに東京で世界大会があることから、卓球用品の市場が活気づくことを期待している。