ニッタは1月15日、独自のナノ分散技術および複合化技術を応用発展させることにより、カーボンナノチューブ(CNT)を炭素繊維表面にナノレベルで均一に被覆する複合化技術を開発したと発表した。
従来比20~50分の一程度のCNT添加量で、炭素繊維強化樹脂(CFRP)の導電性や機械強度といった特性向上ができるため、大幅なコストダウンも可能となる。
「現在、数十件レベルで引き合いがあり、大学や企業とのアライアンスで製品開発を進めている状況」(同社)。分野としては「自動車、スポーツ、航空宇宙など産業分野が多い」という。
他社と共同で14年度中の事業化を目指す。
カーボンナノチューブは、金属代替材料として注目され、航空機や自動車をはじめ様々な産業分野へ用途が拡大している。 CFRPは炭素繊維間を樹脂材料によって固定させる構造ゆえに、成型品使用時に摩擦などによって、樹脂部分に静電気の蓄積が生じやすいことや、炭素繊維と樹脂界面の剥離による耐衝撃性の脆弱化に懸念があるなど、金属代替の用途展開における課題になっていたが、開発した複合材料は、CNTが炭素繊維表面をナノレベルで均一に被覆した構造を有しているため、導電性や機械強度などの特性向上させることに成功、静電気の蓄積や脆弱化を改善することも可能となった。
従来はCFRPの合成樹脂部分に混ぜる状態でCNTとの複合を行っていたが、新技術は炭素繊維表面にカーボンナノチューブを付着させることに成功した。
今回新たに開発した技術は、ガラスファイバー、ケブラー繊維など他の材料に対するCNT複合化にも適用可能であるため、新たな機能を有したCNT複合材料への応用展開も期待できるという。
同技術は1月29日から東京ビッグサイトで開催される「nanotech2014」で、「カーボンナノチューブ複合化技術」として展示紹介される予定。
2014年01月19日