省エネ機器・システムを一堂に集めた「ENEX2014 第38回地球環境とエネルギーの調和展」や、ナノテクノロジーに関する世界最大の展示会「nano tech 2014 第13回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など、8つの展示会が1月29~31日、東京江東区の東京ビッグサイトで開催され、ゴム関連企業も多数出展した。
ENEX
●住友ゴム工業
2005年以来、10年連続での出展となった住友ゴム工業は、低燃費タイヤ「エナセーブ」を中心に、同社グループの環境に対する取り組みを紹介した。
ブースでは世界初の100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」を前面に打ち出し、一般タイヤとの違いが分かるよう、構成天然素材を比較展示。年内に発売予定の「50%転がり抵抗低減タイヤ」のプロトタイプも展示した。
またモニターでは、日本を始め、海外工場などで実施している同社グループの環境貢献活動を紹介した。
その他、同社独自の「高減衰ゴム」を採用した住宅用制震ダンパー「MIRAIE(ミライエ)」も展示していたが、身近に感じられる製品ということで、来場者からの質問が多数寄せられていると担当者は話していた。
●バンドー化学
バンドー化学は、省エネ大賞のアワードコーナーに、送風機メーカーのミツヤ送風機製作所と共同で資源エネルギー庁長官賞を受賞した「ハイパーフラットドライブシステム」を展示した。
同製品は、送風機などの動力伝達用として使われる平べルト駆動システムで、省エネとべルトの長寿命を実現したものだ。
初日のブースには、表彰式に出席した吉井満隆社長が訪れ、記念撮影を行っていた。
nano tech
●金陽社
金陽社はフィルム加工工程で使用される各種ゴムロールを中心に、高精細印刷技術としてフレキソ版材ゴムシートや、プリンテッドエレクトロニクス用シリコーンゴムブランケット「シルブラン」などを出展した。
このうち、フレキソ版材ゴムシートはレーザー彫刻が可能な製品。シリコーンゴムブランケットは各種電子部品の電極成形など精密なパターニングを行うことができる。いずれもサンプル出荷の段階にあるという。
ゴムを使った同社のこうした先端技術に、来場者は足を止めて見入っていた。
●ニッタ
ニッタは研究段階にあるカーボンナノチューブ(CNT)の分散・複合化技術を紹介した。
ダイヤモンドと同等の強さを持ち、銅に比べ1000倍の電流量と10倍の熱を運ぶと言われるCNTは、次世代半導体や燃料電池、光学機器、構造材料など、様々な分野での応用が期待されている。
同社のブースでは独自のCNT関連技術である液中分散・高粘性体中分散・表面付着・微量添加の各技術を解説したほか、複合化技術としてCNT複合繊維・CNT複合樹脂薄膜・CNT複合炭素繊維などを紹介。最先端の技術分野だけに、たくさんの来場者が訪れ、説明員の言葉に熱心に耳を傾けていた。
●日本ゼオン
日本ゼオンもCNTの技術開発への取り組みを紹介した。
同社はスーパーグロース法を使った単層カーボンナノチューブ(SGCNT)の開発を行っている。2011年から産業技術総合研究所と共同で、量産化技術に取り組み、大型連続合成装置でのSGCNT合成に成功。13年からは産総研の量産実証プラントを活用して、SGCNTの高品位サンプルを製造して提供している。
ブースではこれらの取り組みをパネルなどで説明していた。
新機能性材料展
●加貫ローラ製作所
加貫ローラ製作所は同社の豊富なゴムローラー製品の中から、フィルムゴムローラーの展示を行った。
メインに据えたのは、高機能フィルム用巻き取りコア「e―コア」。同製品はフィルム段差をロールが吸収しロスを低減する高機能フィルム用巻き取りコアである。NBR製の「e―コアK」は、クッション効果に優れ、低硬度ゴム材質でありながらフリードを極限まで抑制、優れた歪み回復性を発揮することから幅の異なるフィルムも繰り返し巻き取ることができる。
また、表面の摩擦係数を小さくするスペラックス処理が可能なことからフィルム巻き付け時の作業性が改善されるのが大きな特長だ。
その他、歪み復元性や耐摩耗性などを高次元でバランスよく実現した「EC―W(ワック)」シリーズや、滑り性と離型性を向上させた表面処理技術などを紹介していた。
●JSR
JSRは、環境・エネルギー面で社会に貢献する技術として、潜熱蓄熱材料「カルグリップ」や植物由来のバイオプラスチック、遮熱塗料向け材料「シフクリア」などを出展した。
このうちカルグリップは、特殊オレフィン系熱可塑性エラストマーでパラフィンを固定化したもの。家屋や自動車、定温輸送用資材などとしての利用が考えられている。
家屋で利用する場合は、日中の太陽熱を吸熱し、夜間の暖房費低減が可能で省エネに貢献。さらに電気を一切使用せず、一般的な暖房や冷房設備がなくても快適な室温を維持することができるため、環境負荷の低減が達成可能なことなどをPRしていた。
先端表面技術展
●協和界面科学
コーティングプロセスの各工程を評価する装置の開発を行っている協和界面科学は、いずれも特許申請中である、新しい摩擦摩耗計と次世代引張試験機を中心に展示した。
新型の摩擦摩耗計は、新しいコンセプトに基づく天秤機構を採用することで、不要な力を検出せず、より正確な摩擦の波形取得を実現した。
一方、次世代引張試験機は、自在な引張角度の設定と剥離面の観察で、これまで見られなかった現象・特性を見ることができる。
同社の装置はすでに様々な企業の研究開発機関や製造現場、大学などで使われているが、展示会では、こうした装置がコーティングプロセスの問題解決に役立つことを改めて紹介していた。