宇部興産の2014年3月期第3四半期連結決算は、売上高は前年同期比4766億9800万円で同2・6%増、営業利益は164億500万円で同29・3%減、経常利益は119億9400万円で同45・7%減、、四半期純利益は96億1900万円で同23・5%減となった。
同社グループは、当期を初年度とする三ヵ年の中期経営計画「Change & Challenge―更なる成長に向けて―」において、3つの基本方針「持続的成長を可能にする収益基盤の強化」「グローバルでのグループ力の最大化」「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を掲げ、構造的な事業環境の変化にもスピード感を持って対応すべく、各事業課題の解決に向けて取り組んできたが、特に化学部門を取り巻く状況は厳しさが続き、いまだその成果が出るには至らず、増収減益の結果となった。
化成品・樹脂セグメントでは、ナイロン原料のカプロラクタムは、中国での相次ぐ他社新設備稼働開始に伴う供給過剰により市況の低迷が続くとともに、設備トラブル等もあり出荷が減少。ポリブタジエン(合成ゴム)も、原料であるブタジエン市況が乱高下し採算が悪化した。ナイロン樹脂、工業薬品は総じて堅調に推移。この結果、同セグメントの売上高は1647億6100万円で同1・1%増、営業損益は20億3900万円の損失となった。
機能品・ファインセグメントでは、リチウムイオン電池用の電池材料については、電解液の出荷は前年同期並みで推移したが、セパレーターは大幅な価格の下落に見舞われた。ファインケミカル製品や電子情報材料分野をはじめとするその他の機能性材料は需要回復傾向にある製品が見られるものの、出荷は依然として低調に推移した。この結果、同セグメントの売上高は470億7500万円、同0・3%増、営業利益は2億1500万円で同86・0%減となった。
医薬セグメントでは、自社医薬品の抗血小板剤の原体販売数量は堅調だったが、その他の自社医薬品の原体と、受託医薬品の原体・中間体の販売は低調に推移した。この結果、同セグメントの売上高は68億5700万円、同17・9%減、営業利益は12億3300万円の同55・1%減となった。
建設資材セグメントでは、セメント・生コン及び建材製品は、復興需要の本格化に加え、公共投資や民間需要が堅調に推移したことにより、国内出荷は前年同期を上回り、円高是正もあり輸出採算の改善も進んだ。各種廃棄物のリサイクル事業も堅調。カルシア・マグネシア製品分野においても、東北向け土質改良材の出荷が増加し、鉄鋼向け耐火物需要も持ち直しの傾向が見られた。この結果、同セグメントの売上高は1680億4200万円で同7・7%増、営業利益は120億1500万円で同49・8%増となった。
機械・金属成形セグメントでは、竪型ミルや運搬機等の産業機械は、出荷は前年同期を下回ったが、円高是正もあり受注環境は回復しつつある。自動車産業向けを中心とする成形機は、新機種の市場への浸透が進み、日系ユーザーの新興国・北米向け新設、増設案件を中心に出荷が好調。機械サービスも堅調に推移し、また、製鋼品は受注環境が厳しい中、出荷は堅調だった。この結果、同セグメントの売上高は530億3000万円で同4・1%増、営業利益は31億1000万円で同11・4%増となった。
エネルギー・環境セグメントでは、石炭事業は、販売炭の売上数量は増加したものの、預り炭の数量は前年同期を下回った。電力事業は、IPP発電所の定期検査及びその後の設備トラブルにより売電量が大幅に減少した。この結果、同セグメントの売上高は446億9900万円で同9・8%減、営業利益は13億1200万円で同69・0%減となった。
その他のセグメントの売上高は213億5200万円で同10・2%増、営業利益は8億5300万円で同0・4%増となった。
通期の連結業績予想は、売上高は6470億円で前期比3・4%増、営業利益は260億円で同13・2%減、経常利益は195億円で同30・5%減、純利益は125億円で同51・2%増を見込んでいる。
2014年02月06日