カネカは2月7日、アクリル系繊維(商標名:カネカロン)の製造設備をカネカマレーシアの敷地内に新設すると発表した。
生産能力は年産1万2000t、投資金額は約90億円。稼働時期は2015年10月を予定。
カネカロンは1957年より同社の高砂工業所で製造しており、今回の新設は海外では初めての生産拠点となる。長年にわたって蓄積された同社独自の技術を活かしながら更なる差別化を可能にする革新プロセスを導入していく。今回の新設により、カネカロンは現状の高砂工業所の生産能力、年産6万1000tと合わせて合計年産7万3000tの生産能力となる。
マレーシアで生産されるカネカロンは全量アフリカ向けに販売する。主用途は頭髪用の付け毛で、黒人の女性の間で必需品として使用されている。アフリカの中でもサブサハラ(サハラ砂漠より南の地域)は今後も着実な人口増加が見込まれ、2040年には中国、インドを抜いて世界一の人口を擁する地域になると推定されている。このように人口増に伴う旺盛な需要の増加が見込まれる中、引き続き頭髪用付け毛の原料素材の安定供給、新しい商品やサービスの提供に努めていくとしている。
一方、カネカロン用途は頭髪装飾分野以外にエコファーを中心としたパイル分野及び防護服やインテリア商品に使われる難燃分野がある。いずれの用途もこれからの時代のニーズを反映して需要拡大が見込まれ、これらの用途については引き続き日本からの供給を拡大していく。
カネカマレーシアはすでに同社のアジア最大の生産拠点となっており、インフラが整備されていること、安定した原料調達が可能であること、世界のハブ港であるシンガポールに隣接していること等、新規海外立地として最適と同社は考えている。
同社は国連WFPの『飢餓と貧困を撲滅する』という使命に賛同し、その活動を支援するため、WFPコーポ―レートプログラムへ参加している。同社が製造するカネカロンの販売を通じて、『アフリカの女性の美の追求は個人の美の追求だけでなく、家族の幸せから生まれる』という考えのもと、現在の母親、未来の母親を支援することとし、アフリカで購入された同社製品の売り上げの一部を国連WFPに寄付し、学校給食プログラムを通じてアフリカの女性と子供たちをサポートしている。
2014年02月07日