ゴム連合は9月1~2日の両日、琵琶湖グランドホテル(滋賀県大津市)で第7期定期大会を 開催し、2011年度の運動方針を決定した。
ゴム連合では環境への配慮、省エネが避けて通れない大命題となっていることやゴム産業内における労働条件格差の拡大、メンタルヘルス不調者が増大していることなど、これまで以上に各企業労使で知恵を出さなければならなくなっている。これに加えて、各企業労使だけでは対応し切れない課題も多いこことも明らか。従って、労働組合としても単組、産別、連合、それぞれが自らの役割をしっかりと果たしながら、課題その連携を工夫することが重要となる。
ゴム連合としても各単組の主体性を尊重する取り組みと、産別として歩調を合わせる取り組みを、メリハリをつけて柔軟に組み合わせていくことが重要になると認識している。
東日本大震災の被災者支援を継続していくことはもちろんのこと、加えて産業政策と労働政策へのウエイトを高めながら、取り組み方にも産別として歩調を合わせたチームプレーを課題に応じて多用していく。そのポイントを改めて認識しつつ、それに基づいた活動の方向性を点検していく。
ゴム連合の具体的取り組みは次の通り。
〈雇用といのちを守る取り組み〉
▽雇用確保の取り組み=ゴム産業に集う全ての労働者が誇りを持ち、生きがい働きがいを感じて安心して生活がおくれることを目指して、その基本となる雇用の確保に向けて取り組む。雇用確保のためには各企業の労使が相互信頼をベースに、企業が健全な状況で収益を確保し、 持続的に発展していくことが前提となる。そのためには取り巻く環境を正しく認識するとともに情報を共有化し、自ら主体的に課題を探求し、課題解決の道を見出していくことが大切であり、 こうしたことが企業基盤強化にもつながる。
ゴム連合は、ゴム産業全般にわたる共通のテーマに取り組むとともに、各単組が自ら考え、 判断・実行できるように情報の提供、基礎知識、考え方や手段の共有化など、各単組において課題解決が図れるよう支援活動を推進する。
▽産業対策の取り組み=将来にわたり、ゴム産業が発展することで、そこで働く労働者が安心して生活をおくれる魅力あるゴム産業を目指し、ゴム連合の全ての活動の充実化を図る 。
ゴム産業が発展するためには、各単組だけでは解決できない課題や問題に産別として取り組むことが不可欠。引き続き、ゴム産業政策の検討を進めると同時に、必要に応じて連合(とりわけゴム産業に関連する産別)や日本ゴム工業会と連携を図る。
▽安全衛生活動=ゴム産業に集う全ての労働者が、安全で健康かつ快適に働けることを目指す。これらの取り組みは、単組活動が主体となるが、産別組織として各単組が主体的に課題改善を図れるよう、情報の収集と提供、基礎知識の共有、考え方・手段共有化を図る。
〈生活を守る取り組み〉
▽賃金制度の整備・確立の取り組み=安定して働きがいを感じられる職場生活を送るために 、労使協議を充実させ、公正な賃金・評価制度の確立に向けた取り組みを推進する。
▽賃金と一時金の取り組み=労使協議を充実させ、適正な一致点を見出すことがベースであり、情勢などの認識や基本的スタンスを示し、各単組が効率的な取り組みができるよう支援を行う。各単組の主体的な取り組みの成果として、ゴム産業全体の社会的位置づけの維持向上を目指す。
▽退職金=退職後の生活は、公的年金を基礎として退職給付制度や自助努力による個人年金などで営まれており、その生活を安定したものにしていくために、労使協議をベースに賃金制度などの見直しと併せて、退職給付制度の構築、安定した制度の運用に向けて取り組む。
▽高齢化対策=高齢者については、団塊の世代の60歳、更には65歳への到達による労働市場への影響、公的年金の定額部分・報酬比例部分の支給開始年齢の段階的引き上げなどにより、雇用と生活面を巡る環境は大きく変動している。
最近の高齢者雇用安定法の改正などにより、高齢者の雇用・就業は着実な進展をみせているところであり、就労場所の確保や労働者の定着性に配慮し、年金との関係や仕事の内容、 働きぶりに合わせて高齢者の賃金制度をいかに設定するかなど、高齢者が安心して働き、生活の確保ができる取り組みを進めていく。
▽労働時間=ワークライフバランス(WLB)の観点から、所定内労働時間の水準、有給休暇 の取得促進や時間外労働の適正化など各単組が主体的に労働条件の確立に向けた活動ができるよう情報展開を行う。また、法改正や時間管理の適正化など、動向の情報発信を行い、 各単組のコンプライアンス推進と既存の労働条件の見直しができるよう促進する。
▽海外勤務労働条件=グローバル化が進展する中で、海外勤務者とその家族が経済面だけでなく心身の健康や生活設計の面においても不安なく生きがいのある海外生活を送れるように、労使協議を充実させ海外勤務者の労働条件の改善を目指す。
〈組織機能の強化〉
▽産別機能の強化=ゴム産業においても今後、経済・産業構造の変化について的確に捉えていく必要がある。ゴム連合が果たす役割としては産業経営対策を中心とした取り組みについても大きな柱として位置づけている。
①各単組が役割を発揮できる組織づくりを推進する②経営状況・経営課題を共有できる労使関係の構築、課題の提言ができる労働組合の組織力と役員の力量アップを図る③的確な情報のもとで、産別と単組が連携し、要求への考え方のサポートを図る。
▽社会性を意識した取り組み=企業が法令を遵守し、品質などに関して消費者や取引先を欺くことのないように労働組合としての監視意識を高め、また言うべきことが言える社内の雰囲気、体質づくりに労働組合として参画することは、労働組合の対会社や対組合員への機能をきちんと作用させることにもつながることから、各単組の重点事項として位置づけることに産別としても働きかける。
▽ゴム連合内における連携=情報の公開と提供、各単組(とくに中小労組)に対する相談や サポート、マンパワーの提供、各種取り組みにおける他単組への参考事例提供などについて、 各単組がその意識を高めることができるようにする。
▽組織の安定・拡大=労組の究極の目的は「組合員が安心して生活できる」ことである。そのためには労働組合が適正な運動理念と組織力(組合員総数・連携・団結力など)を持たなければならない。ここに労組が組織の強化・拡大に取り組む理由がある。さらに、非正規社員労働者の諸課題対応も労組の社会的責任として求められており、労働条件改善に向けた取り組みを推進する。
2011年09月05日