帝人デュポンフィルムは4月4日、世界最高レベルの難燃性(UL規格=VTM―0)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム「テイジンテトロンUF」(以下、UFグレード)を開発したと発表した。
近年、LED照明やエレクトロニクス製品などの高輝度化・高出力化・高性能化に伴い、それらの構成素材にも高い難燃性が求められるようになっている。こうしたニーズに応えるVTM―0レベル(着火から10秒以内に自己消火)の非常に高い難燃性を有する代表的なフィルムとしては、ポリイミドやポリエーテルイミドフィルムなどが挙げられるが、価格が非常に高いことが課題となっていた。一方、PETフィルムは、高い耐熱性や耐薬品性、コスト競争力などを活かして幅広い用途に使用されているが、難燃性については、一部にVTM―2レベル(着火から30秒以内に自己消火)のグレードがあるのみで、難燃性が求められるモバイル機器などのエレクトロニクス用途においては、使用可能な箇所に限界があった。また、ハロゲン系難燃剤の添加や難燃コーティングによってPETフィルムにVTM―2以上の難燃性を付与することは可能だったが、環境への悪影響やコストアップの要因となることが課題となっていた。
こうした中、同社が今回開発したUFグレードは、新たな難燃フィラーを独自開発することにより、PETフィルムの特性である耐熱性や耐薬品性、強度などの性能を維持したまま、世界最高レベルの難燃性となるVTM―0を実現した。また、ハロゲン系難燃剤を使用していないため、環境や健康への悪影響も抑制することができ、コストについても、ポリイミドなどの難燃フィルムに比べて最大10分の1程度に抑えることが可能だ。
今後は、OA機器、パソコン、照明など、エレクトロニクス製品の難燃絶縁部材や難燃ラベル、フレキシブルディスプレイなどに使用される基板など、高い難燃性が要求される用途にUFグレードを展開し、アジアや欧米におけるマーケティング力を活かすことにより、2016年度には売上高50億円を目指す。また、UFグレードに使用している難燃性向上技術を応用した難燃ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムの開発など、同社が保有する様々な製品・技術への応用も検討している。
2014年04月08日