日精樹脂工業は4月8日、電気式射出成形機と共に主力機種であるハイブリッド式の大型射出成形機「FVXシリーズ」のモデルチェンジを実施、新たに「FVX―Ⅲシリーズ」として4月10日から受注を開始すると発表した。
今回、モデルチェンジを実施した大型射出成形機は、型締力5500kN(560トン)の「FVX560Ⅲ」から同12800kN(1300トン)の「FVX1300Ⅲ」までの5機種で、射出装置との組み合わせにより全9タイプとなる。
モデルチェンジ機の主な特長は、高性能・高機能コントローラ「TACTⅣ」の搭載。コントローラ「TACTⅣ」は、画面の大型化や操作パネルの新設計、便利で使いやすい高付加価値ソフトの搭載により作業性・操作性が向上しているほか、品質・生産管理機能の強化を図っている。
「TACTⅣ」は、既に電気式成形機「NEX―Ⅲシリーズ」やハイブリッド式成形機「FNX―Ⅲシリーズ」に搭載されており、顧客より成形条件出しの容易さと成形立上げ作業の簡素化が図れるとして、高い評価を得ている。
主な特長は、操作パネルはフラットシートとし、シートスイッチ方式を採用している点、画面は15インチLCDの縦長配置で、上下に2画面を表示できるなど、視認性と操作性を大幅に向上している点、新機能の段取画面や設定器の説明表示機能などにより、金型取付から量産開始までの立上げ時間の短縮と、簡単・確実な操作を実現した点、など。
このほか、ハイブリッド式成形機の特長として、低圧型締性能に優れ、常に設定通りの型締力の伝達が可能な「直圧型締」機構と、ハイブリッドポンプシステム「Xポンプ」を搭載している。「Xポンプ」は、油圧式駆動の良さ(メンテナンスフリー、長寿命、低コスト)と電気式駆動の良さ(省エネルギー、高速射出、高応答性、高再現性)を兼ね備え、サーボモータの回転数制御(注)によって、必要な時のみポンプを駆動(必要の無い時は停止)させる方式。
Xポンプの搭載により、油圧式成形機に比べ、大幅に消費電力を削減できるほか、エネルギー効率が大きく改善されたことで、作動油温度の上昇が抑えられ、冷却水の低減が可能となり、その結果、クーリングタワーなどの冷却水設備費や管理費のコスト低減も可能となる。
また、Xポンプ搭載機は、射出速度の立ち上がり(立ち上がり応答:30ミリ秒)の高応答化を図っている。油圧式では難しい極低速・低圧領域の安定化とワイドレンジでの速度・圧力の直線性を実現、 射出速度の立ち上がり(立ち上がり応答:30ミリ秒)の高応答化や、油圧従来機に比べ、最低制御圧力を約1/5の0・3MPaにアップし、低圧領域での制御分解能の向上を図っている。さらに、電気式では難しい「高圧+長時間」の射出保圧(保圧100%で60秒保持可能)を実現。サーボモータ駆動により、電気式とほぼ同等の低騒音化も実現している。
大型射出成形機は、自動車関連産業を中心に需要が堅調に推移していることから、省エネ性能に優れた新型ハイブリッド式大型機を投入することで、受注の拡大を図る。
FVX―Ⅲシリーズの標準本体価格は、消費税別で「FVX560Ⅲ―210L」の3480万円から「FVX1300Ⅲ―1100L」の9830万円まで。シリーズ全体で年間約70台の販売を見込んでいる。
2014年04月09日