ドイツのバイエルマテリアルサイエンスは4月9日、2代目のソーラー飛行機「ソーラー・インパルス」が完成し、スイスのバイエルヌで初公開されたと発表した。史上初の無燃料で世界一周飛行を2015年に予定している。
予定されている世界一周飛行では、ソーラー・インパルスは太陽エネルギーのみで飛行する。両翼に搭載された約1万7200個の太陽電池が、この飛行機の唯一の動力源。大型旅客機並みの72メートルの翼を持ちながら、機体の総重量は2・3トン。
初代モデルは2010年に太陽光エネルギーだけで昼夜飛行を実現し、その後も数々のテスト飛行を経て、昨年はアメリカ合衆国横断飛行に成功した。それをさらに改良したのが、今回の新型ソーラー飛行機。今年いっぱいテスト飛行を繰り返し、来年3月には世界一周飛行に出発予定。
ソーラー・インパルス・プロジェクトの共同創立者は、同プロジェクトを通して既存技術にはエネルギー効率の向上や再生可能エネルギー、新しい輸送機関に貢献できる大きな可能性があることを示したいと考えている。
同社は同プロジェクトに多くの技術的な専門知識を提供しており、特にコックピットシェルに関しては全設計を担当した。同社が提供した材料のひとつ、高機能断熱材Baytherrn Microcellを使用すると、現行基準と比較して断熱効果が10%向上する。同機は、夜間は400℃、日中は+400℃という激しい温度変化に耐える必要があるため、高性能断熱機能を備えることが特に重要になる。
飛行機のドアにはBaytherrn Microcell、ドア以外のコックピットシェルにも同社の別種類のポリウレタン硬質フォームが使用されている。また、ドアロック部分にポリウレタンとカーボン・ファイバーの複合素材、窓には薄く透明な高性能ポリカーボネートフィルムを提供している。コックピットは初代モデルよりも全体的に大型化しているが、重量増加は最小限に抑えられている。
バッテリーの断熱に同社製のポリウレタン硬質フォームが使用されている。また、機体の大部分に塗られているシルバーコーティングの原材料や両翼下部に織布を貼り合わせるための接着剤を提供している。
2014年04月18日