中国外電によると、スイス・ジュネーブにある世界貿易機関(WTO)は現地時間5日、米国が2009年から中国製タイヤに対して「ダンピング行為がある」として課していた懲 罰性の上乗せ関税を「WTOの規則に合致している」との裁定をくだした。中国側が米国の措置を不服として提訴したが、退けられた。
米国貿易委員会は中国製タイヤに「ダンピング行為がある」として2009年6月、自国内の産業と労働者保護のために、1年目には55%、2年目、3年目 にはそれぞれ45%、35%の追加課税をすべきと提言。オバマ大統領は同年9月、1年目から3年目までそれぞれ35%、30%、25%の追加課税を決め た。
中国は「一方的な措置」として反発。中国製タイヤに懲罰性関税を課したとしても米国で労働者の職場を守ることはできない。タイヤ価格の高騰で米国の消費者に不利益をもたらす。米国のタイヤ市場を混乱させる。米国の消費者は価格が上昇したことでタイヤ交換をしなくなり、米国の道路交通に危険をもたらす」― などと主張した。
中国から米国へのタイヤ輸出は2010年には前年比で23.6%、2011年上半期(1-6月)には前年同期比6%減少したが、米国のタイヤ輸入全体で は2010年には20.2%増加、11年上半期は9%増だったことから、中国は米国の措置を「わが国企業を狙い撃ちにしたもの」などと批判していた。
中国は米国の上乗せ関税を「WTOの規則に違反」していると、WTOに提訴していたが、WTOは9日、123ページにおよぶ裁決文を発表し、「中国のタ イヤ輸出が米国の関連産業に損害を与えたことは確実」として、中国側の主張を退けて、米国の追加課税を「WTOの規則に合致」と認めた。
中国のWTO代表団は裁定を受け、「遺憾だ。米国の措置は国際貿易を一挙にねじ曲げるもので、国内政治圧力を他国に転嫁するものだ」、「米国には、(追加課税の)措置を即刻取りやめ、中国企業に公平な競争ができる市場環境を提供するよう要求する」と批判した。