東レは5月9日、東レ・カーボンマジック(以下「TCM」)と同社の量産工場であるカーボンマジック(タイランド)(以下「CMTH」)でCFRP(炭素繊維強化プラスチック)部品の生産能力増強を決定したと発表した。
日本とタイで新たにオートクレーブ成形や切削加工、塗装などの生産・後加工設備を導入し、2014年下期から2016年にかけて順次稼動を開始する予定。
同社は昨年4月に、童夢グループから童夢カーボンマジック(現TCM)の全株式を取得、同時に、タイの生産拠点である童夢コンポジット・タイランド(現CMTH)の株式の75%を取得して子会社化した。同社グループの傘下に入って以降、TCMの優れた設計技術力とCMTHの量産コスト競争力に、同社の高品位材料競争力が加わったことで市場からの評価・期待が高まり、プレミアムカーや二輪バイクなどTCMが従来から得意とする分野だけでなく、航空機や列車、更には車椅子や義足といったライフイノベーション関連などの新規分野でも設計・試作・量産依頼が急増している。
こうした市場からの要請に対応するため、TCMでは米原本社工場敷地に建屋を増築して試作・少量生産拠点としての機能を拡充する。また、CMTHでは現工場と同じシラチャSahaグループ工業団地内に新たに約2万2千㎡の敷地を賃借し、将来の拡張も考慮した、成形から塗装までの一貫量産新工場を建設する。
同社グループでは、TCMをコンポジット事業の中核拠点として位置づけ、独ユーロ・アドバンスド・カーボン・ファイバー・コンポジッツ(EACC)や米国プラサン・カーボン・コンポジッツ(PCC)の海外拠点と連携して、自動車分野に留まらずCFRP部品の市場開拓・適用拡大を目指す。併せて、2月に買収の成立したゾルテック・カンパニーのラージトウ炭素繊維を含め、川上の炭素繊維から川中の中間基材、川下のCFRPコンポジットに至るサプライチェーンを拡充することで、4月からスタートした新中期経営課題「プロジェクト AP―G 2016」で掲げた炭素繊維複合材料事業の飛躍的な事業拡大を実現していく。
2014年05月13日