東洋ゴム工業は6月10日、新「中期経営計画」を発表。東京と大阪で説明会を開催し、信木明社長が説明を行った。
2011年に発表した15年までの5ヵ年計画「中計’11」で掲げた営業利益と営業利益率の目標を13年12月期で達成し、売上目標についても今年度中に達成する見込みであることから「さらに高いステージにおける、あるべき姿へ進化していく意思表明として、新しい中期経営計画を策定し、発表することになった」(信木社長)。
新たに策定した「中計’14 GO BEYOND~いまを超えていく」は、14年を起点とし、5年先の18年のあるべき姿を見据えた上で、中間点である16年に到達すべき目標を設定したもの。
具体的な数値として、売上高4700億円、営業利益520億円、営業利益率11・1%、ROA(総資産営業利益率)10%以上を掲げた。
事業分野別の戦略では、タイヤ事業は売上高3800億円、営業利益460億円、営業利益率12・1%の目標を設定。事業方針として、同社の強みであるSUV/CUV市場で確固たるブランドポジションを確立することや、トラック・バス用タイヤの製品開発力を強化することなどを挙げた。
このうち、北米を中心に展開しているSUV/CUV/ピックアップトラック用タイヤについては、グローバル販売本数に占める構成比率を40%まで高める(13年は32%)ことで、収益基盤の強化に繋げる。
トラック・バス用タイヤに関しては、市場から高い評価を得ているものの、商品開発スピードに課題を残していたため、低燃費・ロングライフという高付加価値商品をタイムリーに市場投入していく方針を示した。
タイヤ事業の市場戦略としては、地域ごとの自動車社会の成熟度、人と車の文化の相違、タイヤに対する理解度により、世界市場を北米、日本/欧州/中東、中国/東南アジア/中南米の3つのグループに分け、各エリアに応じた市場ミックスを強化。16年の販売額構成比では、収益源である北米の比重を13年の46%から50%まで向上させることにした。
3エリアのうち、SUV/CUV/ピックアップトラックが新車販売の約4割を占める北米市場では、マーケティング力や供給能力など、あらゆる機能を強化。これにより、同カテゴリーでの市場シェアを6%まで高める(13年は4・5%)。
日本/欧州/中東市場のうち、日本ではミニバン専用タイヤ、軽自動車専用プレミアムタイヤ、低燃費タイヤ、スタッドレスタイヤなどで、他社とは趣の異なる商品ラインナップを強化する。
欧州では、評価の高い低燃費タイヤと冬タイヤを活用して拡販。ロシアではSUV/CUVカテゴリーの販売をさらに強化する。
中東は同社製品に対する潜在需要が高いにも関わらず、十分な供給ができていなかったことから、供給能力の拡大に応じて現地代理店との連携を図り、SUV/CUVカテゴリーの製品投入を積極化し、収益に寄与する安定的な成長市場として育成していく。
中国/東南アジア/中南米市場のうち、中国ではSUV商品の展開、高級品の販売比率の拡大など、商品ミックスの改善を図る。
東南アジアは供給量の安定と拡充を進めるとともに、付加価値のある低燃費タイヤや高インチタイヤなどで販売チャネルを拡大・充実させる。中南米ではSUVやUHPなどの販売を強化する。
供給戦略については、日本・米国・中国・マレーシアにすでに生産拠点を設けており、10年に10%だった海外生産比率は、13年には35%まで向上した。16年にはこれを50%まで拡大させる。
エリア別では、北米工場でSUV/CUV/ピックアップトラック用の増強を優先し、北米市場への供給をさらに拡大。国内工場では、