食品工業界最大の総合トレードショー「FOOMA JAPAN 2014 国際食品工業展」(日本食品機械工業会主催)が6月10日から13日までの4日間、東京ビッグサイトの東1~6ホールで開催された。
37回目を迎える今回は「食の未来を探しに行こう。」をテーマに668社(共同出展社含む)が出展した。
開場に先立ち、2階エントランスホールにおいて開会セレモニーが開かれ、関係者によるテープカットが行われた。
オープニング直後の会場内では、国士舘大学吹奏楽部によるマーチング演奏と行進が行われ、アジア最大級の「食のトレードショー」にふさわしい華やかな雰囲気で幕が開いた。
会場内では出展した各社が、食品製造プロセスの効率化と自動化を図るための最新鋭の製品や、最先端のテクノロジーなどを実演を交えて積極的に展示した。また会期中は、出展社によるプレゼンテーションをはじめ、各大学・研究機関の研究発表会、セミナー、シンポジウムなども数多く開催されており、多くの来場者が訪れた各ブースは賑わいを見せていた。
本紙関連では、食品産業に貢献する樹脂ベルトメーカーやホース、手袋、シューズ、機械装置関係などの企業が多数出展した。
◆バンドー化学
新たに食品搬送グレードを用意した「バンコラン ロングシンクロベルト」を参考出品した。同製品は、食品衛生に関する厚生省告示第370号に適合し、FDAにも準拠。同期伝動・同期搬送も可能なシンクロベルトとして、多様な食品加工にも対応し、今後の需要が期待できるとのことだった。
多種多様な食品搬送用ベルトを取り扱う同社らしく、ブースにおいて製品を用途や工程ごとに分けて展示することで、来場者が見やすい工夫を行った。
また、4月にリニューアルした搬送用樹脂ベルト「サンラインベルト」の各種サンプルを来場者が直接触れられるよう展示した他、昨年省エネ大賞を受賞した次世代伝動システム「HFDシステム」を展示し、来場者にデモンストレーションを行っていた。
◆ニッタ
「付かず、残さず、浸み込まず」と謳った「防汚性」をテーマに、食品用ブルーベルト「LBEU―6ANF」「同―12ANF」をメインに展示した。その他「食品から出る液体による着色汚れに強いベルトがほしい」という顧客の要望に応えるため、防汚性に強い樹脂を使った高機能食品用ベルト「NSL4208A」を参考出品し、来場者に品質を訴求していた。
また同社クリーンエンジニアリング事業部は、大腸菌群が6時間で検出できる検査キット「マイクロ・スナップ」を展示し、短時間での検品が迅速な出荷につながる利点をアピールした。
その他、共同出展するゲイツ・ユニッタ・アジアが、タイミングベルトの歯底部にはめ込むだけのアタッチメント「はめぱっちん」や、アラミドコードを使用して業界初の「脱金属」を果たしたウレタンベルト「メクトロール」の新製品を展示した。
◆三ツ星ベルト
樹脂コンベヤベルトの新たなモノづくりコンセプトで開発力を強化した新シリーズ「Tailorbelt(テーラーベルト)」を中心に紹介。ブースはテーラーベルトのイメージを演出するために、光透過性ベルトをスクリーン代わりに使用するなど、工夫した展示を行った。
光透過性ベルトは、表面カバーに耐光性に優れた無黄変ポリウレタンを採用し、光透過性を高めた製品。極薄帆布と白色導電繊維を採用したことで、高い透過率を実現した。その性能がわかるように、ブースでは、ライトテーブルを使用して光透過性の性能がわかるように訴求した。
また先日発表された2つの新製品も出品した。一つ目はベルト食品の安全対応ベルト「フッ素コーティングベルト」を出品。同製品はベルト表面に耐熱性・離型性に優れたフッ素樹脂を採用。炊き立てのご飯など高温で粘着性のある搬送物に最適なベルトで、炊き立てご飯や餅、ガム、キャンディ等の様々な用途に使用できる。ブースでは炊き立てご飯を例にして、剥離のしやすさの実演が行われた。
もうひとつは「バイオマスベルト」。同製品は再生可能な生物由来の有機性資源を使用した環境配慮型ベルト。一番の特長は従来品の1・5倍のバイオマス度である66%を実現したこと。同製品の販売はこの夏をめどに計画しており、食品工場などに積極的にPRしていくとのことだった。
◆フォルボ・ジークリング・ジャパン
同社は食品搬送・加工用ベルト「スマート・フードシリーズ」、製パン・製菓工程用モジュラーベルト「プロリンク」、搬送・加工工程用ベルト「トランジロン」などを出品した。
今回は新製品として、2製品を初披露した。一つ目が「フルシールHACCPベルト(1プライ・2プライ)」。同製品はベルトエッジからの染みこみやエッジのほつれを解消することにより、より衛生的に加工・搬送が可能にした「スマート・シール」技術を応用した耐湿熱タイプのベルト。2プライでも従来の1プライ並みの柔軟性が付与されている。その結果、小プーリ・ナイフエッジに対応し、省エネ効果も向上した。また従来の製品と比較して高い衛生性も実現した。
もうひとつが「バイオマスウレタンベルト」。特長は傷つきにくく、カビなどの栄養源が残りにくい耐摩耗性を実現したこと。また、くり返し洗浄できる高い耐熱性も備えている。同製品もスマート・シール加工が可能。日本バイオマスプラスチック協会が制定したバイオマスプラマークを取得している。
また同社が食品分野向けに注力するモジュールベルト「プロリンク」を、初めて組み立てた状態で展示した。特長は技術の専門家でなくても施工がしやすい点や洗浄しやすい点がある。同社では「スマートシール・シリーズ」と「プロリンク」は食品分野向けの注力製品として位置付けている。
◆トヨックス
ホース配管安心セットを展開する同社には、年間数千件にも上る困りごとが顧客から集まるとのこと。
今回の展示では、食品設備配管に関する臭いや臭い移りなどの「品質保持問題」、フタル酸など「法規制問題」、折れ・つぶれなど「省エネ問題」、漏れ・抜け・はずれなど「生産性向上問題」、液だまり・コンタミ(汚染)など「衛生管理問題」、配管に手間・時間がかかる「省施工問題」、震動対策など「機械震動・地震問題」という7つの困りごとを改善するための処方箋として、同社の製品を展示した。
中でも免震ホースと継手については、実際に震動を与えた時の金属配管との違いを、デモンストレーションを交えてわかりやすく見せていた。
◆東拓工業
同展示会に二度目の出展となった同社は、主力商品で食品衛生法厚生労働省告示201号・267号に適合した「TACフルオロ」をはじめ、食品用途の「TACエコライン」、屈曲耐久性が非常に優れた「TACエコダクト」などの各製品を展示した。
また「TACエコシリーズ」の新製品で、0~100℃の流体に使用可能な「耐熱耐油ホース」を紹介した。
ブースでは、同社の製品に色のついた液体を流して性能をアピールすると同時に、パネル展示で多くの食品用ホースを展示した。
◆NOK
同社グループとして、NOKクリューバー、バルコムと共同出展した。
同社は水処理用中空糸膜シリーズの新しいラインナップとして、ひも状のブレイドで補強して強度を高めた「ブレイド補強PVDF膜」を、同展示会に初披露した。
同製品は機械的強度に優れており、逆圧力をかけた洗浄にも耐えられる他、中空糸の孔径も用途により自由に変えられるところが特徴となっている。まだ試作段階だが顧客の反応はよく、工場排水の浄化などに用途が期待されている。
NOKクリューバーは安全性が高い食品機械用の潤滑剤「食品機械用グリース・オイル」をメインに紹介した。同製品は紙容器充填包装システムの世界的シェアを持つテトラパック社の装置に標準採用されている。
◆宇都宮製作
手袋から衛生用品、家庭用品まで幅広く展開する同社は、極薄・高強度とフィット感向上を実現したゴム手袋の新製品「シンガー・ニトリルライトPF」を中心に据えて展示した。
また、作業現場における安全要求に対応した耐切創手袋などの安全用品も紹介。これらは昨年7月に改正された労働安全衛生法により、食品関係でも需要が増加しているとのことだ。
その他、同社は食品業界向けに衛生キャップの拡販を期しており、従来より多い点数の衛生キャップを展示して来場者にアピールしていた。
◆日進ゴム
厨房シューズや衛生長靴などを扱う同社は、6回目の出展。
メインの出品として、滑りにくい厨房シューズ「Hyper V」シリーズの新製品、「粉」でも滑りにくい「粉Hyper V」を初披露した。
同社によれば、転倒事故は