東海カーボン(東京都港区・工藤能成代表取締役社長)は、炭素材料のグローバルリーダーとして積極的な事業展開を行っている。
14年第1四半期のカーボンブラック事業は、タイと中国で2割超の販売増加があり、売上高は前年同期比15・8%増の119億8100万円。営業利益は同30・8%増の4億2400万円となった。
「カーボンブラックは黒鉛電極と並ぶ同社のコア事業。2018年の創業100周年に向けて、今後も伸ばしていかなければならないが、国内市場は縮小している。ターゲットは必然的に海外になる」(長坂一代表取締役副社長)
同社は海外戦略の一つとして、4月中旬にカナダのカンカーブ社を完全子会社化した。
同社の石炭・石油系原料を使用したファーネスブラックと異なり、カンカーブ社は天然ガスを原料としたサーマルブラックの高品質製品を生産。
世界のサーマルブラック市場7万5000tのうち、約50%のシェアを持ち、技術力も優れたトップ企業だ。サーマルブラックは耐熱性を要求される非タイヤの自動車部品に使用されている。
「買収の狙いは、非タイヤマーケットへのシナジー効果、カンカーブ社のチャンネルを使った欧米地域への拡販。さらにカンカーブ社を通して、欧米の情報がダイレクトに得られるメリットも大きい」(長坂副社長)。
同社とカンカーブ社は技術交流を進めており、将来的にはサーマルブラックの技術をタイヤにも応用できないか可能性を探っている。
また中国の生産拠点・東海炭素(天津)では、6月末で増設が完了し11万t体制となる。今後は日系、外資系タイヤメーカーを中心に販路拡大を目指す。また、日系メーカーの要望に応じ、国内のみで行ってきた特殊品の生産を横展開して、本年秋には生産を開始する予定。
タイの拠点については、政情の不安定さはあるものの、ASEAN地域やインドを含めたアジアのポテンシャルはまだ高い。中国と同様に特殊品の生産で横展開を図る予定だ。
これまで同事業の海外進出はアジアに限られていたが、カンカーブ社の買収でその枠は飛び超えた。「日本をR&Dの拠点にして、海外で如何に事業を伸ばしていくかが、今後の戦略の基本となる」(長坂副社長)
今後はアライアンスやM&Aなども視野に入れて検討しながら、積極的な海外展開を図るとしている。
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