ランクセスは7月7日、ベルギー・アントワープで高性能プラスチックの新製造プラントが稼働を開始したと発表した。
同プラントは、約7500万ユーロを投資した世界規模を誇るポリアミドプラスチック製造施設で、約9万トンの年間製造能力を備えている。なお、軽量化プラスチックの主要顧客は、自動車産業となる。プラントの稼働率は、始動段階を経て数カ月のうちに徐々に引き上げられる予定。
同社がアントワープ拠点で製造するプラスチックは、グローバルネットワークで繋がる各国のコンパウンディング拠点において加工され、最終的に「デュレタン」ブランドの製品となる。また、高性能プラスチックの重合用新プラントは、同社がアントワープ拠点で稼働するカプロラクタム施設に隣接して建設された。カプロラクタムは、プラスチック製造において重要な中間体。このポリアミドプラントの稼働によって、同社はカプロラクタムの自家消費率の増加が可能となる。
重合されたプラスチックは、ガラス繊維などで強化され、その特性を改質し、顧客のニーズに応える。この用途で使用されるガラス繊維も同社のアントワープ拠点で製造されている。
自動車産業は、ランクセスのハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットの主要顧客産業。同社の革新的な素材は、金属の代替としてより軽量な自動車部品の製造を実現し、車の燃費向上および二酸化炭素排出量の削減に貢献している。この代替部品は従来に比べ、10~50%の軽量化を可能にする。同社のプラスチックは、例えばエンジン機能部品、ドア構造部品、ブレーキペダル、フロントエンド、コックピットのクロスメンバーなどに使用されている。また、自動車メーカーと車両部品サプライヤーは高性能プラスチックを採用することで、さらなる生産コストの削減と、組立工程の簡略化を実現できる。同社の高性能プラスチックが使用されているもう一つの分野は、電気/電子産業。
同社のHPMビジネスユニットは、パフォーマンスポリマーズ部門(2013年度売上高=45億ユーロ)に属している。世界中に約1500名の従業員を擁し、ベルギー(アントワープ)、ドイツ(クレフェルド‐ユルディンゲン、ハッム・ユントロプ、ブリーロン) 、中国(無錫)、インド(ジャガディア)、米国(ガストニア)、ブラジル (ポルト・フェリース)に製造拠点を置いている。