カネカは7月9日、独自技術を利用して開発したポリオレフィン系ホットメルト接着樹脂(以下、ホットメルト接着樹脂)の市場開発を強化すると発表した。
同樹脂はすでに自動車外装、内装部材用途に採用され販売を開始しているが、家電、住設分野など、他の分野の工業用部材向けに用途展開を図る。
ホットメルト接着樹脂とは、溶剤を使用しない接着材料であり、溶剤を使用した接着剤では必要であった乾燥・養生工程が不要で、接着工程での簡素化に加え、環境にも配慮した接着材料。具体的には溶剤を使用した接着剤と比較して、加熱装置で連続した工程で張り合わせることができるので、人の手による刷毛塗り人件費が要らず、塗りムラ(厚みムラ、塗り残し)がなくなる。接着剤の液が垂れる、はみ出すなどのトラブルも起こりにくい。また作業環境、設備の汚れがないなどのメリットがある。
近年、自動車、家電製品、住設製品などの、小型・軽量・高性能化、意匠性の追及に伴い、金属と樹脂といった異種材料の組み合わせの接着が多様化しており、それらをいかに簡便に接着するかが重要となっている。中でもポリオレフィン系樹脂は、軽量性、加工性に優れ、低コストであることから、自動車部品や家電、住設製品に広く使用されており、金属、他の樹脂材料、布、皮などの異種材料との接着需要は多く寄せられている。
同社のホットメルト接着樹脂は従来のホットメルト樹脂と同様、溶剤型接着剤で必要となる乾燥・養生処理を簡略化することができる。さらに、下塗り処理、プラズマ処理、コロナ処理などの前処理なく、ポリオレフィン系樹脂をはじめ、ステンレス、アルミニウム、ナイロン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂に接着することができる。これらの特性を生かし、金属に溶融樹脂を射出して一体化する成形や、あらかじめ一定形状に成形した樹脂基材に意匠シートを真空成形で圧着する成形に利用することで、自動車外装部材のピラーや、ドアトリム周辺やインパネ周辺のパネル自動車内装用加飾部品に採用されている。
今後の計画として、このホットメルト接着樹脂のほか、加工性改良剤などの改質樹脂などのポリオレフィン系樹脂分野の製品群として、2020年に売上高100億円を目指す計画。