横浜ゴム㈱の米国のタイヤ生産販売子会社、ヨコハマタイヤコーポレーション(YTC)は9日、オレンジオイルが添加された同社の乗用車用タイヤ「BluEarth―1」が今年の秋から2年間、ボストン科学博物館で特別展示されると発表した。
博物館にタイヤが展示されることは稀だが、同製品はその例外となった。
今回、交通・再生エネルギー・ナノテクノロジーエリアで予定される「環境にやさしいタイヤ作り」の対話型展示で、同製品の技術に焦点が紹介される。同製品に採用された新開発コンパウンドのナノブレンドゴムは、配合技術により、低燃費、ウエット、耐摩耗性の3つの性能を高めるコンパウンド。特性の異なる素材の化学反応をコントロールし、3つの性能の「黄金比」を導きだす。
同製品は低燃費性能と背反するウエットグリップを高めるため、「オレンジオイル」を配合し、タイヤ走行時のエネルギーロス(発熱)を最小限に抑えることで、ころがり抵抗を低減し燃料消費を抑制する。
YTCの田中靖代表取締役社長兼CEOは「今回の展示によって、横浜ゴムが環境にやさしい技術開発に取り組んでいることが証明でき嬉しく思う。ボストン科学博物館は学術、文化をリードする施設として世界トップレベルの科学センターにランクされている」と述べた。
また「横浜ゴムは、世界的な課題である環境保護に取り組んでいる企業。BluEarthはヨコハマが世界に向けて発信していく新しいタイヤコンセプト。追求するテーマは『環境、人、社会にやさしい』こと。だからこそ、環境にやさしいオレンジオイルなどの技術をボストン科学博物館に評価していただいたことを、光栄に思う」と語った。
同製品に使われているAIRTEX Advanced linerも併せて展示される。空気圧が低下したタイヤはころがり抵抗が大きくなり燃費が悪化し、さらに下がりすぎると安全性にも悪影響を及ぼすので、適切な空気圧の維持は重要である。AIRTEX Advanced linerはタイヤから漏れる空気を抑制するために開発された。
同製品は現在、日本と欧州で販売されており、米国では2012年に3サイズを販売する予定となっている。