カネカは7月16日、独自技術によるポリプロピレン系樹脂の加工性改良剤を開発し本格販売を開始したと発表した。
同製品は、樹脂に少量添加することで、ポリプロピレン系樹脂の熱成形性、発泡性を改良できる。
加工性改良剤はポリプロピレン系樹脂からなるので相溶性などに優れ配合時の外観不良が発生せず、耐熱性、軽量性や安価といった特性を維持できる。
ポリプロピレン系樹脂は、軽量性、加工性に優れ、安価であることから自動車内装部品や家電・ 日用雑貨部品に多く用いられている。その一方で、他の樹脂に比べ溶融時の粘度低下が大きく、溶融した樹脂を引っ張った際の張力が低いことから、シートを熱成形する際にドローダウン(シートが軟化して垂れ下がる現象)が大きく、局部伸びによる厚みバラつきやデザイン上の細かな凹凸 模様が乱れるなどの問題があった。また、射出発泡成形では気泡が破壊されやすいため、2倍以上の高発泡倍率化が難しく、低発泡倍率でも安定生産には課題を抱えていた。
今回、同社が保有する樹脂改質技術を駆使することにより、これらの問題を解決できるポリプロピレン系樹脂の加工性改良剤を完成させた。
期待される需要分野としては、空力特性を向上させるエアロパーツなどの自動車用部品(シート成形)、床や壁材などの 建設・土木資材、ラゲージボックスなどの自動車用部品(射出発泡成形)、エアコンなどの家電・収納ボックスなどの日用雑貨品、パレットやコンテナなどの産業資材、建設・土木資材などがある。
同社は今後の計画として、加工性改良剤などの改質樹脂の他、接着樹脂などのポリオレフィン系樹脂分野の製品群として、2020年に売上高100億円を目指すとしている。