山下ゴム 経常利益は過去最高に

2014年07月28日

ゴムタイムス社

 ベトナムでの内製化に注力

 新中計3ヵ年で150億円投資

 山下ゴムの2014年3月期連結決算は、同社の主要顧客であるホンダの完成車販売が全世界で順調に拡大したことから、売上高は646億1400万円、前年同期比21・7%増の増収となり、経常利益は為替円安が寄与し39億2000万円、同155・8%増と過去最高となった。

 ホンダの全世界での完成車生産台数の増加で海外子会社7拠点すべてで増収増益となり、海外売上高比率は74%強に達した。

 同社は前中期経営計画の中で、グローバルベースでのコスト競争力の強化と海外生産拠点の拡充、グローバル最廉価調達の徹底、内製化の推進を進めてきたが、海外生産拠点の拡充では13年1月にはメキシコの第2工場(投資額13億円)、タイの防振ゴム第2工場(同15億円)、インド新工場(同13・5億円)がそれぞれ稼動した。

 また、インドネシアでも13年11月に防振ゴム工場(25億円)の建設に着手、2014年末から本格生産を開始する。

 国内でも埼玉工場を三重工場に統合する一工場化を進め、押出し部品をタイ工場へ移管、なおかつ新しい機種への対応品をタイで生産するなど大きく生産をシフトしてきており、これら海外生産拠点の拡充、コスト競争力の強化が実り、グローバルでの業績向上につながった。

 また、業界第一の開発体制の構築、生産技術、本社機能の移管を図るためベトナムの「Y―TECベトナム」で建設を進めていたR&Dセンター、テクニカルセンター、量産化工場の建屋がこのほど完成した。

 「インド工場ではゴム練の内製化をスタートさせているが、コスト競争が厳しくなるなかで、現地調達化をグローバルに広げるとともに、ゴム練、パイプ類の内製化を推進していきたい」(石川常夫社長)とし、ベトナムでの技術開発、内製化を加速させている。

 14年度からスタートした第12次中期経営計画では、ベトナムでの本格稼働と合わせ、各拠点での内製化整備の拡充などで3ヵ年で総額150億円(今期73億円)の設備投資を計画しており、R&Dセンターでは7月1日から製品開発センターに加え、素材開発センターを設けることで、ゴム、樹脂、金属の素材面での独自開発にも注力していくとしている。

 新中計では売上の拡大と独自技術開発を基本方針に、現顧客の維持拡大と新規顧客の本格開拓、ベトナム展開による提案型開発体制の確立、新興国生産モデルの完成を目指しており、ベトナムR&Dの活用により、2018年にはトヨタ・日産へ車両で提案できる技術力を有する業界トップの技術力を目指すとしている。

 次期の通期業績見通しについては、メキシコ、タイ、中国での需要拡大に加え、インド、インドネシア工場での本格操業で売上高670億円、経常利益40億円の増収増益を見込んでいる。

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