住友ゴム工業はこのほど、タイヤ製造プロセスにおけるシミュレーション技術「Tyre Manufacturing Simulation(タイヤ・マニュファクチュアリング・シミュレーション)」を開発したと発表した。
この技術は、各工程における現象を可視化することで製品の品質を正確に予測することを可能とし、タイヤ品質を向上するとともに、タイヤ開発時の精度向上により環境負荷低減にも貢献できるもの。
同社ではこれまで、タイヤ構造におけるシミュレーション「DRS(デジタル・ローリング・シミュレーション)」や新材料開発におけるシミュレーション「4D NANO DESIGN(フォーディ・ナノ・デザイン)」を用い、構造開発から材料開発まで一貫して、シミュレーションによるタイヤ開発を行ってきた。
今回新たに開発した技術は、タイヤ製造プロセスにおいて、原料ゴムとカーボンなどのフィラー(充填剤)を練り合わせる「混練」工程、ゴム部材を一定寸法のシート状に加工する「押出」工程、部材を貼り合わせてタイヤの原形を作る「成形」工程、トレッドパターンなどが施された金型に入れて、熱を加えて製品を仕上げる「加硫」工程など、各工程において起こっている現象を可視化することによってメカニズムを解明し、製品の品質をシミュレーションにより正確に予測することを可能にした。
これにより、工程設計および設備改善の最適化によるタイヤ品質向上はもとより、タイヤ開発時の精度向上が図れ、環境負荷低減にも貢献できるとしている。
〈混練シミュレーション〉
混練中のゴム温度分布、フィラー(充填剤)にかかる応力を可視化することで、最適な練り方・条件が予測できる。
〈押出シミュレーション〉
ゴムの押出し形状の変更による配合配分を予測することで、生産性の向上や開発時の精度向上が図れる。
〈成形シミュレーション〉
シート状のゴムや繊維材を貼り合わせてできるタイヤの原型を可視化することで、各部材の最適な形状を予測することができる。
〈加硫シミュレーション〉
①加硫中の変形シミュレーション
タイヤの原形は金型により最終製品の形状へと変化する。この変形を正確に予測することで、製品の品質を向上することができる。
②加硫中の伝熱シミュレーション
金型内部で、温度が伝わって行く様子をシミュレーションすることで、原材料の持つ性能を最大限に引き出し、低燃費性能や耐摩耗性能などを向上させる。