BASFは7月28日、中国の上海浦東(プドン)にあるイノベーション・キャンパス・アジア・パシフィックの拡張工事を開始したと発表した。
9000万ユーロを投じ、研究開発棟と補助施設を建設し、2015年末までに竣工する予定。
イノベーション・キャンパスは同社にとってアジア太平洋地域内で最も重要な研究開発センターで、ドイツ以外では最大規模の研究開発拠点の1つ。この拡張に伴い、同社の当該地域の研究開発能力はさらに強化される。主に先端素材やシステムに注力すると同時に、自動車や建設、ニュートリション&ヘルス、ホームケア&パーソナルケアといった成長産業に貢献するフォーミュレーション、化学プロセスおよびエンジニアリングなど、新しい領域にも参入していく。
同社は、開設して1年半が経ったイノベーション・キャンパス・アジア・パシフィックを通じて、自動車、建設、塗装・コーティング、ホームケア&パーソナルケア、包装材などの産業において、顧客に選ばれるイノベーションパートナーとしての地位を確立している。同社は同地域の市場に対する見識と同社の強力なグローバル研究開発ネットワークを活用し、同地域内のさまざまな産業の市場ニーズに応える革新的なソリューションを提供する。たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)断熱窓における事業強化のため、世界初の共押出材料Ultradurを大連実徳グループと共同で開発した。PVC窓の組成内の鋼鉄を同材料置き換えることにより、強風に対する耐性と優れた断熱性能に必要な機械特性が備わり、軽量化を実現しながら強度を高め、エネルギー効率の高い建設を可能にする。
アジアには、上海のイノベーション・キャンパスの他に、日本、シンガポールおよび韓国にも同社の研究開発センターがある。インドのイノベーション・キャンパス開設も計画している。同社は世界規模で研究開発費を拡大して、2013年の研究開発費は18億ユーロに達し(2012年=17億ユーロ)、約10650名の科学者と研究者が3000件の研究プロジェクトに従事。昨年の特許出願件数は1300件、世界中で約151000件の登録商標および知的所有権を有し、世界規模の特許資産指標(Patent Asset Index)では5回連続で第1位にランクされている。