ランクセスは8月7日、同社の逆浸透膜エレメントが、ガーナ共和国の飲料メーカーで採用されたと発表した。
ガーナ共和国北部のマズルカ社の水処理施設において、逆浸透(RO)膜エレメント「レバブレン RO B400 HR」が採用されている。この水処理施設では、水を毎時40立法メートル浄化し、ノーザン州の首都であるタマレの40万人の住民ほか、半径200キロメートル圏内の近隣市町村を含む計約60万人に飲料水を供給している。同社の液体高純化テクノロジーズ(LPT)ビジネスユニットは、同施設で使用されている膜ろ過システムの設計を行った。同社ではマズルカ社の従業員に対し、逆浸透膜およびイオン交換樹脂システム用の総合ソフトウエア「レバプラス」の使用方法に関する指導も行っており、使用条件に変更が生じた場合も外部に依頼することなく、社内で必要な調整が可能となった。
複数の層に巻かれたスパイラル型の同製品は、架橋ポリアミド複合膜から成り、工業用水処理及び飲料水浄化向けに開発された。逆浸透膜エレメント「レバブレンHR(高除去率タイプ)」の最大の特長は、硝酸塩や有機物質などの有害物質の除去率が高いこと。同製品は、高品質の透過水を提供し、NSF/ANSI規格61「飲料水配管用部品」の要件を満たしている。
ガーナ共和国ノーザン州において、マズルカ社の飲料水処理施設は、この種の施設として初めて設立された。同地域の飲料水の供給は特に不足しており、官庁統計によると、人口の約半分が清浄な飲料水を入手できない状態。水は通常、0・5リットル容量のビニール袋に浮遊物質だけがろ過された水道水を入れ、約3ユーロセントで提供される。袋は取扱が簡単で水を取り出した後に廃棄できるが、水質と味が問題だ。マズルカ社は、最高レベルの衛生管理手法と最新の逆浸透膜技術を組み合わせ、安全で高品質な水の製造を目指している。
2013年10月にマズルカ社は、飲料水および清涼飲料水(パイナップル、コーラ、オレンジ、グレープフルーツ味を加えた飲料水)の小袋の製造を開始。最初に使用したろ過エレメントでは、膜エレメントの流路がすぐに詰まってプラントが停止したが、「レバブレン」に変更して以来、膜ろ過システムは問題なく稼働している。
マズルカ社は最近、小袋に加えてペットボトルでも製造販売を始め、今ではエネルギー飲料も提供している。電力消費量の集中する日中は停電が発生するため、主に夜間に稼働する。
設立間もないマズルカ社には30名の従業員が所属し、水を井戸からくみ上げ、浄化、紫外線殺菌、小袋およびペットボトルへの充填、輸送、システムメンテナンスなどに従事している。ドイツ品質協会(DGQ)で品質管理者の資格を取得している同社のハインリッヒ氏は、定期的に従業員にプロセス最適化の訓練を行っている。