コンチネンタルタイヤは8月20日、2011年に販売を開始した電気自動車向けタイヤのコンチ イーコンタクトに新たな改良を施し、ハイブリッド車対応タイヤとして発売すると発表した。
新たな技術やプロセスを数多く採用し、製造工程の多くの部分を手作業で仕上げたこの新サマータイヤは、EUタイヤラベリングの「ウェットグリップ」と「転がり抵抗」の両カテゴリーにおいて最高のグレーディング「A」を獲得した。
EUのタイヤラべリング制度は、「転がり抵抗」、「ウェットグリップ性能」ともう一つ「騒音」の表示義務がある。ラベルには、転がり抵抗とウェットグリップ性能を7グレードで、騒音レベルは3グレードとデシベルで表記しており、今回同社としては初の獲得となったA/Aは、「転がり抵抗」と「ウェットグリップ性能」において各最高のグレード。
同製品には、リム径17インチと18インチで計6サイズが設定されており、対象となる主な車種はオペル アンペラやBMW アクティブハイブリッド5、レクサスLS 600h、ポルシェ カイエンS ハイブリッドのほか、ハイブリッドのSUVなど。フランスのサルグミーヌにある自社タイヤ工場において、当分は少量のみ生産する。
ハイブリッド車向けの新製品の転がり抵抗は、従来のタイヤに比べて20%程度低くなっているが、ウェット路面でのブレーキング性能は通常の乗用車タイヤ並み。ドライ路面でのハンドリングとブレーキングの性能は、コンチネンタルの同サイズのセダン向けタイヤと同様の高いレベルにある。同社のハイブリッド車/電気自動車向けタイヤファミリーの一員である同製品は、サイドウォールに「ブルーエコ」ロゴが入る。
新開発のグリーンチリ・コンパウンドを採用した同製品のシリカコンパウンドは、フィラー粒子とポリマーの内部摩擦が従来のコンパウンドに比べて小さくなるように作られている。また、特殊な添加剤を使用することでハンドリング特性が向上。この新しいコンパウンドにより、ドライ路面でのハンドリングおよびブレーキングの性能を高いレベルで両立させながら、転がり抵抗を大幅に低減することに成功した。
ウエット路面では、トレッド・ブロック内に特別に構成されたツインサイプが「ワイパー効果」を生み出し、タイヤの接地面に発生する薄い水膜を細分化させる。トレッド面と路面のあいだに生れる水の層を速やかに取り除くことが可能になってウエット路面での制動距離が非常に短くなり、ウエット路面でのタイヤのハンドリング性能に好影響を及ぼしている。こうしたトレッド・デザインがウエット路面での制動距離短縮に大いに役立ち、同製品がEUタイヤラベリングのウェットグリップにおいて「A」のグレーディングを獲得した大きな要因となっている。
新製品ではタイヤのサイドウォールにも改良が施されている。空力抵抗と転がり抵抗を最小化することに焦点が当てられ、サイドウォールの空気力学的変更と柔軟で軽量なデザインで改良が実現した。新製品は、従来に比べタイヤに歪む力が加わってから復元するまでのエネルギー消費が少なくなっている。さらに、乱気流の発生が少なくなるため、空気抵抗がエネルギー消費にもたらす影響も少なくなった。
ハイブリッド車は、電気モードの際にほとんど音を発することなく走行する。従来のエンジンでは、タイヤのノイズがエンジンのノイズにかき消されていたが、ハイブリッド車ではタイヤのノイズがより明らかに伝わる。そのため、車内で聞こえるノイズを最小に抑制するようにデザインされている。このデザインを可能にしたのがコンチサイレントテクノロジーだ。トレッドの内側には薄いポリウレタン発泡材が取り付けられており、タイヤが路上で回転する際に生じる振動を抑制する。つまり、シャーシに伝わる振動が小さくなるため、車内で聞こえるノイズのレベルも抑制されるようになる。