宇部興産は、9月11日、ウベファインケミカルアジア社に年産3000tのPCD製造設備を新設すると発表した。
世界的なポリカーボネートジオール(PCD)の需要拡大に対応するため、特に成長率の高いアジア市場をターゲットとする。稼動開始は2015年10月の予定。
ウベファインケミカルアジア社はタイ・バンコクに所在。事業内容はジオール製品の製造・販売。設立は2009年6月。資本金は5万6700万バーツ。出資比率は宇部興産が100%。代表者はチャルニア・ピチットクン氏。
今回のタイ新設により、生産能力は日本年産2000t・スペイン年産6000t・タイ年産3000tの合計年産1万1000tとなり、世界最大のPCDメーカーとしてグローバルな供給体制を強化する。
PCDは宇部興産のファインケミカル事業の主力製品の一つで、主に高級ポリウレタンの主原料(ポリオール成分)として使用されている。PCDを使用したポリウレタンは、従来のポリエステルやポリエーテルを使用したポリウレタンと比較し、耐熱性・耐加水分解性・耐油性・耐候性等の耐久性としての機能が大幅に向上するだけでなく、肌触り等の素材としての高級感も含めて多くの面で優れており近年需要が急拡大している。
用途は幅広く、自動車や家具、建材、電子機器等におけるコーティング、人工皮革、接着剤等の幅広い用途で新たな高機能材料として認知が高まっている。また、高耐久性として省資源に貢献するのみならず、VOC規制強化等への対応のため、溶剤を含まない環境対応型水性塗料(PUD:水系ポリウレタンディスパージョン)の原料としてのニーズも高まっており、今後も継続的な需要拡大が見込まれている。
同社は、PCDの主原料である1,6ヘキサンジオールと炭酸ジメチル(DMC)を自製しているコスト優位性のみならず、日本・スペイン・タイでのグローバルな技術連携を強化することで、ユーザーニーズに対応した新規グレード開発及びユーザーサポートにも注力する。それらの強みを活かし、世界一のPCDメーカーとしての地位をより強固なものにし、市場の成長を牽引していく。