ダイキン工業は9月16日、同社が参画する大阪大学の新しい産学連携制度「共同研究講座」の取り組みが評価され、『内閣府 第12回産学官連携功労者表彰~つながるイノベーション大賞~「文部科学大臣賞』を受賞したと発表した。
受賞式は9月12日、東京ビッグサイトで開催された。
産学官連携功労者表彰は、企業・大学・公的研究機関等における産学官連携活動において大きな成果を収めるなど、当該活動の推進に貢献をした成功事例に対し功績を称えるもの。内閣府が2003年より実施している。
「共同研究講座」は、企業から専任教員が常駐し、大学と企業が対等な立場で研究し、成果を共有する制度。従来の共同研究や寄附講座とは異なる制度を確立し、その研究成果が新規事業やベンチャー企業輩出などの成功例を生み出している点が評価された。
2006年に同社が大阪大学と新設した「大阪大学ダイキン(フッ素化学)共同研究講座」は、同大学が新設した「共同研究講座制度」に同社が参画したもの。同社は研究資金の拠出と研究者の派遣、同大学は研究施設の提供と研究者の派遣により共同研究を推進している。
同研究は、同社の有するさまざまなフッ素材料と同大学の多様な先進技術のフュージョン(融合)により、革新的基盤技術を創造することを狙いとしている。取扱いの危険なフッ素系ガスモノマーやフッ素化試薬などを共同研究講座に持ちこみ、同社研究員が指導・立会うことで、大学内で安心してフッ素化合物を扱える環境を整えた。現在、11の研究室とさまざまな分野で共同研究を展開し、フッ素化学に関係する研究に取り組んでいる。
共同研究では具体的に、有機金属化学との融合による新反応・新プロセスの開発、新用途、新規機能性材料の開発、高度に構造制御された新規フッ素ポリマーの開発、同大学の最新分析機器を活用したフッ素ポリマーの分析・物性解明に関するテーマを推進している。
現在までに、有機薄膜太陽電池向けN型半導体や、高い防汚性を示す樹脂用新規表面改質ポリマー、シリコン太陽電池表面テクスチャ形成の新プロセスの開発に成功し、実用化を急いでいる。その他にも有機金属触媒を活用した新反応の開発や新しいフッ素ポリマーの創出など、さまざまなイノベーションが生まれている。