【合成ゴム特集】S-SBR 技術開発競争が激化

2014年09月29日

ゴムタイムス社

 SBR、BR

 汎用合成ゴムの海外市況軟化で合成ゴム各社の事業収益が悪化している。日本ゴム工業会が経産省統計に基づきまとめた2014年上期(1~6月計)の合成ゴム(ソリッド)品種別出荷実績によると、タイヤ向けを主体とするSBR、BRは国内向けは横ばい、輸出はともに微減となっており、4~6月期にタイヤ生産が減少したことに加え、採算が悪化している輸出市場においてはあえて出荷を抑制したものとみられる。

 この輸出市場においては、「第1四半期を経過した段階で海外市況の底入れが見えてこない」、「ブタジエン安に加え、天然ゴム、合成ゴムが供給過剰で、収益も海外を中心に取れなかった」と、合成ゴム各社は厳しさを強調する。

 EPDM,NBR

 一方、自動車用ゴム部品、工業用ゴム製品向けのEPDM、NBRは自動車生産にスライドし堅調に推移。国内のゴム工業向け出荷はEPDMが工業用品向けで前期比105・3%、NBRも同103・2%と内需が増加した。EPDMの需給はタイトだが、「中国での市況軟化に引きづられ、国内においては値段だけが独り歩きする状態」とし収益面では厳しさが増している。

 S-SBR

 合成ゴム各社の低燃費タイヤ向けのS―SBR(溶液重合法スチレンブタジエンゴム)の海外プラントが本格稼働に入ったが、これに伴いタイヤメーカーの性能要求に応えるための各社の技術開発競争も激化している。

 「連続重合工法による耐摩耗性やグリップ性などをバランス良く達成し、変性効果をさらに高めた新規グレードで同業他社とは異なるプロセス、アプローチ面での優位性を活かす」(旭化成)、「低燃費とグリップ性能の向上を追求したハイエンド分野をターゲットに他社製品との差別化を図っており、それに適したバッチ重合法を主体に生産を行っていく方針」(JSR)。 「タイヤメーカーの技術革新は激しく、低燃費性だけではない、グリップ性、耐摩耗性の性能要求に応えるべく、バッチ重合法を武器に高性能化の鍵となるポリマー変性技術により トップクォリティゾーンで技術、品質で世界トップレベルを目指す」(住友化学)。

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