東洋紡は10月2日、2015年3月末をもってペットボトル用樹脂の製造を中止すると発表した。
あわせて、同社の関連会社である水島アロマで行っている高純度テレフタル酸(PTA)の製造を2015年3月末に停止し、ポリエステル樹脂原料(PTA)事業から撤退する。今回の再編により、ポリエステル関連事業の基盤強化を図る。
同社は、ペットボトル用樹脂の製造を1982年から岩国事業所で開始。樹脂原料であるPTAを水島アロマから購入し、原料から樹脂製造まで一貫体制とすることで、安定した事業運営を続けてきた。
しかしここ数年、ペットボトル用樹脂の海外競合品が増えたことなどにより、同事業は極めて厳しい状況が続いている。このため同社は、将来にわたって本事業の回復が見込みにくいと判断し、2015年3月末をもって、ペットボトル用樹脂の製造を中止することとした。
水島アロマは、1970年に同社と日本瓦斯化学(現・三菱ガス化学)との合弁で、PTAの製造会社として設立された。同社は繊維、フィルム、樹脂などのポリエステル関連事業を行うにあたり、水島アロマからPTAを購入してきた。しかし近年、中国を中心としたPTA大型設備の過剰な増設を背景に需給バランスが大きく崩れ、水島アロマが製造するPTAの相対的な競争力が低下してきた。
このため、同社はペットボトル用樹脂の製造中止にあわせて、2015年3月末までにPTAの生産停止・事業撤退をするとともに、水島アロマの解散手続きを開始する。
同社のポリエステル関連事業には、フィルム事業、機能樹脂事業等がある。これらの事業は、従来どおり生産、販売を続けていく。また、PTAについてはすでに安定した調達先を確保している。
今回の事業撤退による連結業績への影響は、現在、精査中。