高騰する原料価格に対応 製品価格への転嫁相次ぐ

2011年09月15日

ゴムタイムス社

 原油・ナフサ価格の高騰を背景に、石化原材料価格が上昇を続けている。企業努力によるコスト吸収が限界に達し、タイヤをはじめ工業用ゴム製品の値上げが相次いだ。本紙は今年上半期に価格転嫁を打ち出したメーカーを製品別・業種別にまとめてみたが、タイヤをはじめゴムベルト、ゴム・樹脂ホース、工業用ゴム製品と広範な品種にわたってアナウンスされた。タイヤでは、国内メーカー4社が3~5月にかけて市販用乗用車用タイヤの価格改定に踏み切ったほか生産財品種についても相次ぐ原材料価格の値上がりにより、企業内努力が追いつかず、2度の値上げを打ち出したメーカーもある。さらに急激かつ大幅な円高基調は輸出比率の高いゴムメーカーにとって、更なる収益圧迫にもつながり、値上げも早期決着が望まれる。

タイヤ

 タイヤの原材料である天然ゴム相場が高値水準で推移しているほか、合成ゴムやカーボンブラック、各種配合剤などの石油化学系原材料価格が上昇したのに対応。
 ブリヂストン、横浜ゴム、東洋ゴム、住友ゴム、日本ミシュランタイヤ、日本グッドイヤー、ピレリージャパンの各社が乗用車用タイヤの値上げを打ち出した。トラック・バス用タイヤではブリヂストン、横浜ゴム、住友ゴム、東洋ゴムがそれぞれ二度にわたる値上げを実施する。値上げ幅は各企業とも平均7~10%の間で行っている。

工業用ゴム製品

 工業用ゴム製品では、コンベヤベルト、油圧ホース、樹脂ホース、伝動ベルト製品を中心に値上げ発表が相次いでいる。ブリヂストンは本年4月の一次値上げに次いで、この10月からコンベヤ、油圧ホース、各種産業資材の価格改定を実施する。天然ゴム価格の高止まりに加え、合成ゴム、カーボンブラックなどの石油化学系原材料の価格も高値が続いている。ゴム使用比率の高いコンベヤベルトではブリヂストン、横浜ゴム、バンドー化学、三ツ星ベルトの各社がそれぞれ5~15%アップの価格改定に踏み切っている。

原材料

 ナフサ、原油価格の高止まりに対応、合成ゴム各社が本年2次にわたり値上げを実施している。合成ゴムメーカー、トップのJSRが高騰するブタジエン価格の上昇に対応、本年3度目の値上げに踏み切った。
  合成ゴムの主原料であるブタジエンは旺盛なタイヤ需要に加え、海外のクラッカー事故によりブタジエンが供給不足となり海外価格が高騰、国内で生産されるブタジエンが減り、割高なアジアのブタジエンの使用割合が増えてくることが予想されている。またクレイトンポリマーは上半期で、4回にわたり対象製品の価格の改定を行った。
 カーボンブラックでは、キャボットジャパン、東海カーボン、旭カーボンが4月と7月と2度の値上げを実施した。

 

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