日本ゼオンは10月9日、中国においてフッ素系溶剤「ゼオローラH」の増産体制を確立したと発表した。
これにより同製品の生産能力は300トン/年となる。
同製品は塩素を含有しないフッ素系溶剤の中で、加工油やフッ素系機能性ポリマーの溶解力が優れていること、沸点が比較的高いために揮発ロスが大幅に低減され、ランニングコスト低減に寄与することが評価されている。
わが国では、オゾン層破壊物質であるHCFC―225が2020年には生産全廃されるため、その代替として優れた環境特性を有する溶剤への需要が高まっている。独自の環状フッ素系溶剤である同製品は、構造中に塩素を含有しないためオゾン層を破壊しない。また、地球温暖化係数も小さく、各種環境規制の該当物質にも挙げられていない。
一方、臭素系洗浄剤がACGIH(米国産業衛生専門家会議)により作業環境濃度が0・1ppm以下に設定されたほか、わが国では主要な塩素系溶剤が労働安全衛生法の特定化学物質に追加される等、洗浄溶剤に対する労働安全への規制も世界的に厳しさを増しており、その代替溶剤としてもゼオローラHが一翼を担うことが期待されている。
このような状況のなか、洗浄剤、コーティング溶剤等の今後の需要拡大に応えるため、中国陝西省の製造委託先の量産体制を整え、今秋から本格的な販売を開始する。
同社は今後も、独創的な技術を生かし地球環境保全や循環型社会の構築に寄与する製品の開発に努めていくとしている。