藤倉ゴムなどが2014年度グッドデザイン賞に

2014年10月20日

ゴムタイムス社

 日本デザイン振興会はこのほど、グッドデザイン賞の2014年度受賞結果を発表した。

 3601件のデザインを対象に審査を行い、今後決定する特別賞各賞の候補となる100件の「グッドデザイン・ベスト100」と「グッドデザイン大賞」候補9件を含む、1258件の受賞を決定した。

 ゴム関連企業では、ベスト100に選定された藤倉ゴム工業のほか、ブリヂストン、住友ゴム工業、東洋ゴム工業のタイヤ3社、アトム、シバタ工業が選ばれている。

 ◆藤倉ゴム工業
 藤倉ゴム工業は膨張式フェンス「エアフェンスFAF」で受賞した。

 これは、ゴム布製の膨張式抑止フェンスで、小さく畳んで保管でき、設置先で空気ボンベにより30秒で膨張が可能。収納も5分でできる。暴走族取締用の設計だが、交通規制の必要なマラソン大会・イベント会場での進入規制や誘導、掲示板への利用など応用範囲は広い。

 また、ゴム布製なので弾力があり、衝突しても安全だ。最大の特徴は3本の足を持ったデザインで、全ての足に幕が付いており「止まれ」などの表示が可能。これにより、接触で転倒した場合でも回転して常に表示を維持できる。重厚感と安定性があるため、高い抑止効果とインパクトを、従来のA型バリケードに替わって与えてくれる。

 ◆ブリヂストン
 ブリヂストンの受賞対象製品は、3月に発売した車種別専用低燃費タイヤ「ECOPIA(エコピア)EX20シリーズ」である。

 「雨に強く長持ちする車種別専用低燃費タイヤ」をコンセプトに、燃費向上に貢献する低燃費性能と高いウェットグリップ性能を実現した。また、車の特徴や使われ方を考慮し、セダン・クーペ、軽・コンパクトカー、ミニバンごとに専用設計を実施することで、それぞれの車種で発生しやすい偏摩耗を抑制、ロングライフ性能も追求している。

 現在の環境タイヤは安全性追求のため、接地面積を広くし、グリップ力を確保する構成を採用している。その結果、横溝が少なくシンプルな外観になり、安全性能の高さを感じにくいという懸念がある。このため、横溝を接地面内で効率的に配置するとともに、機能感を想起させる3D要素を採用することで、シンプルな外観で安全性能の高さを感じるデザインに仕上げた。

 ◆住友ゴム工業
 住友ゴム工業は低燃費タイヤ「エナセーブ」シリーズのエナセーブ100、エナセーブNEXT(ネクスト)、エナセーブEC203の3商品での受賞となった。

 エナセーブ100ではタイヤを構成する材料の選定に工夫。石油由来ではなく、タイヤを構成する材料として必要な耐久性を併せ持つ材料を探す中で、バイオマス技術に着目し、その技術を応用することでコンセプトを実現した。

 エナセーブ・ネクストは従来のタイヤを形成する材料、構造についての考え方を一から見直し、まったく新しい技術で大幅な低燃費を達成。エナセーブEC203では「長持ち=省資源」という環境的な価値を、消費者の「長持ち=お得」という意識と結び付け、消費者がより身近に環境負荷を認識できるよう性能をデザインした。

 ◆東洋ゴム工業
 東洋ゴム工業が受賞したのは、軽自動車専用タイヤ「TRANPATH LuK(トランパス・エルユーケイ)」、ラグジュアリーミニバン専用タイヤ「TRANPATH LuⅡ(トランパス・エルユーツー)」、など5製品。

 このうちトランパス・エルユーケイは、非対称パターン・非対称配合や高剛性構造を採用することで、特に人気の高い「スーパーハイト系」や「ハイト系」で起こりやすいフラつき感や偏摩耗を抑え、しっかりとした走りと優れたロングライフ性能を実現した。

 同社は「専用タイヤ」発想に基づき、各自動車カテゴリで求められるタイヤ性能を徹底的に追求した商品開発に取り組んでいる。今回受賞した各製品は、他社に先んじて専用タイヤを開発していることなどが高く評価された。

 ◆アトム
 アトムの受賞対象となった製品は、作業長靴「グリーンマスター」作業用長靴のイメージを変えるという思いから企画した商品だ。

 単にカラーバリエーションや柄展開といった変化だけではなく、作業性も考えた作り込みを行った。軽量で伸縮性を持たせる胴体部分の素材として、SBR(スチレン・ブタジエンラバー)を使用することで、必要機能を維持しつつ比較的安価にすることができた。

 また、靴底には同社が長年培ってきた農業用長靴の技術を用いたヒールのないフラット構造と、細かい波型意匠が特徴のグリップ底を採用。これにより、足跡が残りにくく、芝などを傷める可能性を少なくするとともに、足場の悪い場所でもしっかりグリップする作業性の良さも実現した。

 ◆シバタ工業
 シバタ工業は安全長靴「SB3004」での受賞となった。

 仕事で安全靴やゴム長靴を履いている人だけでなく、ワークブーツをファッションとして取り入れている人たちにも提案する新ジャンルのブーツである。同社が長年取り組んできた、純国産・ハンドメイドを生かして開発した。

 安全靴に求められる公的基準を満足させながら、従来にないフィット性と動きやすさを確立。摩擦抵抗の少ない部材と耐久性のあるワイヤーレースを組み合わせることで、手袋をしたままでも短時間で着脱が行え、安全かつ快適な足元を提供する完全防水のラバーブーツとなっている。

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